研究課題/領域番号 |
22K05767
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
巽 大輔 九州大学, 農学研究院, 准教授 (60293908)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 多孔質材料 / モデル / 木材 / 粘弾性 / 3Dプリンタ / 空隙 / 音波 / セルロース / べき乗則 / ネットワーク / 耐衝撃性 / パターン / 軽量化 |
研究開始時の研究の概要 |
自然界に見られるネットワークの機序に学び、それを材料創製に活かすことを目的とする。そこで、自然界のネットワークパターンを模倣し、3Dプリンタを用いたネットワークパターンの造形を行う。これの物性、とくに粘弾性や導電性を測定することにより自然界のネットワークの特徴を明らかにする。材料の特性として重要な耐衝撃性は、パルス波を電気信号として試料に与え、その応答波形を解析することによって求める。得られた物性を材料の構造的特徴(階層性)と照らし合わせることで、最小のネットワーク要素で最大の強度を発現できるようなネットワーク構造をもつ材料の創製に寄与する。
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研究実績の概要 |
自然界には木材をはじめとして、多くの多孔質材料が存在している。多孔質材料は内部に空孔を持つため、同体積であればバルク材料に比べて軽量である。したがって、少ない部材量で機能を最大限に発揮する仕組みを備えていると考えられ、それを研究することによって、環境への影響を軽減することにつながると考えられる。本研究では、開放系の空孔の直径および孔数を系統的に変えたモデル材料を作製し、その従来の粘弾性測定に加え、音波による力学的測定の可能性について検討した。材料には光造形樹脂を用い、3Dプリンターによって空孔を有する円板状のモデルを作製した。得られたモデル材料の動的粘弾性測定および音波波形応答性の関係について検討した。具体的には、レオロジー特性と音波特性のアナロジーに着目し、モデル材料の粘弾性の周波数依存性を検討した。また、それぞれの手法の類似点と相違点を比較検討した。 孔数をさまざまに変えたモデル材料の動的粘弾性を行ったところ、弾性率は孔数に応じて変化するのではなく、ある孔数の時に弾性率の極大を示した。これは、エネルギー散逸を最小化した孔数の存在の可能性を示唆する。次に、測定に音波を用いて音波の位相差と試料の厚さとの関係を測定したところ、両者は一次関係を示した。この直線の傾きから材料中の音速を求め、音速から弾性率を求めた。その結果、音波測定によって求めた材料の弾性率の挙動が、動的粘弾性測定によって得られた挙動と一致することが示された。また、材料中の孔の配置が音波応答に与える影響を調査した結果、孔の配置は共鳴ピークや周波数に影響を与えることが示された。音波測定による共鳴は、本手法において特徴的であって、これを検討することで多孔質材料の特徴を抽出できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定では、3Dプリンタを用いてネットワークパターンの造形を行うこととしていた。今回作成したのは木材を念頭に置いた多孔質モデルである。しかしながら、多孔質モデルであっても実質部分(樹脂部分)がつながったネットワークとみなすことができ、その点で当初予定通りである。粘弾性測定のみならず、音波測定も実施できたことから順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、材料の導電性測定を行い、それから得られるパラメータである導電性とすでに測定した粘弾性の同等性について検討する。また、与える刺激をパルス状とすることで耐衝撃性についても検討を行う。さらには、現在多孔質モデルを用いて検討している内容をネットワーク構造に対しても適用する。
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