研究課題/領域番号 |
22K09374
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 美知郎 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90528829)
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研究分担者 |
横田 秀夫 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, チームリーダー (00261206)
建部 将広 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (60420379)
大山 慎太郎 名古屋大学, 未来社会創造機構, 准教授 (80768797)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Augmented reality / 肘関節鏡 / 末梢神経 / motion tracking / アラーム / MRI |
研究開始時の研究の概要 |
関節鏡手術は整形外科の標準的治療となっている。近年ではモニターの画質が改善し機器の小径化も進み視認性や操作性は向上しているが、今なお医原性神経損傷が発生している。我々が開発しているAugmented realityを用いた次世代型肘関節鏡手術システムを用いることで、術者は関節鏡単独では視認困難な神経の位置情報を術中に得ることが可能になる。肘関節鏡ARにおいて重要な課題として術中リアルタイムでの重畳表示精度の検証がある。 肘関節鏡ARに超音波内視鏡を併用することで、ARによる重畳表示の術中誤差を計測し補正することが可能になる。今研究により超音波関節鏡を用いた関節鏡ARシステムを開発する。
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研究実績の概要 |
肘関節周囲を走行する正中神経、尺骨神経、橈骨神経と骨の情報を関節鏡画像に重畳表示するAugmented reality (AR)を臨床応用に向けて様々な取り組みを行った。まず名古屋大学医学部附属病院手術室にAcuity社から購入したOptitrackのmotion tracking systemを用いてマーカーをシームレスに追跡可能であるかの実験を行った。Optitrackのカメラ6台を手術室に取り付けて実験を行い、死角無しに位置情報を得ることが可能であった。 Motion tracking systemの変更に伴い、ARのプログラムを修正した。ソフトウエアRhinocerosを用いてOverlayするが、鉗子やシェーバーなどのinstrumentsが神経に近づいた場合にアラームが鳴るような設定を加えた。 肘関節鏡ARにおいては個々の患者での術前CTとMRI画像から神経と骨の情報を抽出するが、今後、多くの症例に対応するために、肘関節周辺を走行する神経の3次元解剖のvariationを調査している。これまでに健常成人15名に対して肘関節を0度(伸展位)、45度屈曲位、90度屈曲位でMRIを撮影し、正中・橈骨・尺骨神経の3次元情報と骨の情報を抽出した。3次元空間にて神経走行の解剖学的variationを解析している。健常人の肘関節周辺の神経の3次元解剖のvariationが誤差1cm以内であれば、今後は個々の患者のデータから神経と骨の情報を抽出せずに、予めストックされた肘関節周辺の神経の3次元情報を重畳表示することで、実際の臨床において簡便にARを使用することが可能になると考えている。 2024年5月下旬に新しいARシステムでの1例目の臨床試験を行う予定である。それらの結果は次回報告する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肘関節鏡ARについては概ね順調に開発が進んでいる。新たに導入したOptitrackのmotion tracking systemで使用するマーカーが滅菌により変質が生じたが、滅菌可能で代替できるマーカーを探して見つけることができている。マーカーを関節鏡に取り付けるためのデバイスも制作した。令和6年度中に臨床例でのAR肘関節鏡手術が進む見込みである。その結果、AR肘関節鏡の有用性と臨床使用時の問題点がもしあれば明らかになる。 AR肘関節鏡手術中にエコープローベを滅菌ドレープでカバーして術野で超音波を使用する予定にしている。重畳表示した神経の走行と術中エコーでの精度検証を行う。
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今後の研究の推進方策 |
臨床例での肘関節鏡ARを導入して、case seriesとして報告する。同時に肘関節周囲を走行する神経の3次元解剖を統計学的に解析し、神経の走行の誤差範囲を検討する。肘関節周囲を走行する神経に対し、3肢位でMRIを撮影しており、0度から90度までの肘関節の屈伸に伴う神経動態についても解析を進めている。この技術をAR肘関節鏡に付与することで、肘関節鏡中に肘関節の動きに合わせた重畳表示が将来的に可能になる。 現在は肘関節周辺の神経の3次元解剖を手作業で抽出している。ここに多大な時間と労力を費やしている。この技術をAIを用いて行う試みも進めている。術前に既定の撮影方法による肘関節MRI画像があれば神経の3次元情報をコンピュータが作成できるようになる。
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