研究課題/領域番号 |
22K12577
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
中内 政貴 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (10533680)
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研究分担者 |
安富 淳 叡啓大学, ソーシャルシステムデザイン学部, 准教授 (50704673)
内田 州 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, 次席研究員 (90852541)
田中 聡 立命館大学, 国際関係学部, 嘱託講師 (00965741)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 地方分権化 / 欧州連合(EU) / 紛争経験国 / 自治 / 体制移行国における地方分権化 / 補完性原則による地方分権化 / 欧州統合と地方分権化 / 中央政府と地方自治政府との権限争い / 地方分権 / 多元社会 / 紛争後の国家建設 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、体制移行国、特に多様なアイデンティティを有する集団間の紛争を経験した国家において、どのような過程を経て地方分権が導入され、どのような影響がもたらされてきたのかを明らかにするものである。本研究は、地方分権研究および権力分有研究の双方の位置付けを有する。本研究を通して、中央ー地方、多数派ー少数派の関係について問題提起を行い、また、地方分権が十分な検証を経ずに紛争経験国に適用されてきたことによる影響を明らかにする。最終的には、多元社会において望ましい地方分権化の形をも探求し具体的な政策につなげることを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度も、本研究プロジェクトの第一の焦点である欧州連合(EU)による地方分権化政策についての調査を継続した。2000年代にEUが旧共産主義諸国を加盟国に迎えた際の事例を研究する中で、EUは民主主義にとっての分権化の重要性を強調する一方で、基本的にはそれを行政効率の改善といった「日常の政治」の中に位置付けており、中・東欧諸国の加盟プロセスにおいても、例えば人権保護や法の支配の分野などのようにEU基準の達成を求める強い圧力をかけたわけではないことが明らかになった。 上記と並行して、共同研究者による現地調査もふまえつつ、紛争経験国であるボスニア・ヘルツェゴヴィナ(以下、ボスニア)およびジョージアの事例についての研究を行った。両国ともに将来のEU加盟を目指しており、特にボスニアは2023年末に加盟交渉プロセスの開始が決定され、いよいよ加盟の最終段階にさしかかっている。ボスニアでは、停戦時に合意された民族間の権力分有を徹底する目的で地方分権化が継続して取り組まれているが、他方で、民族間の対立による政治の停滞を乗り越える目的で、中央政府に権限を集中させる必要性も指摘されている。本プロジェクトで調査を行う中で、EUが分権化の言葉を用いながらも、実質的に中央集権化を進めている現状が明らかとなり、このことは、2024年3月に発行された学術雑誌への投稿論文で発表した。ジョージアについては、加盟候補国の地位も認められない段階ではあるが、最大のドナーであるEUの影響力は強く、政府は地方分権化に取り組んでいる。特にトルコ系住民が多いアジャラ地方への自治の付与が欧米から賞賛されているが、他方で、ジョージア政府は同地方の分離の動きを警戒しており、同地方を避ける形で分権化の議論を行っていることが明らかとなった。この点についても、上記の学術雑誌への投稿論文で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は文献調査に加えて、分担研究者によるEU機関への聞き取り調査やボスニアでの現地調査を実施することができた。その成果は、研究代表者が所属する大学院の紀要(査読:有)に論文として発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、これまでの研究成果に基づき国内の学会においてパネル発表を行うことが決定している。引き続き文献調査・現地調査を実施しつつ、海外の学会での研究発表を行うことを計画している。大きな課題としては、本研究プロジェクトで実施している事例調査から、いかに他の事例にも適用可能な一般的な理論的な示唆を引き出すことがあり、プロジェクト最終年度である2024年度は、この点に中心的に取り組む予定である。
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