研究課題/領域番号 |
22K13471
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
原口 春海 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 講師 (70796325)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 検品支援 / 作業者訓練 / 機械学習 / 製造業 / 品質管理 / 生産管理 / 検品作業 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者はこれまで,検品支援ツールの開発・導入を行うと共に,導入による検品作業者の作業効率の変化を研究してきた.申請者らが開発した検品支援ツールでは,畳み込みニューラルネットワークを使用することで作業者による判断のばらつきを判別モデルへ反映させることを実現した.一方,検品対象によって判別モデルの精度にばらつきが出るという課題も残った. そこで本研究では,従来行ってきた医療器具に加えて良品/不良品の判別がつきづらい単色の工業用品を対象に,作業者の技能向上(判断基準の平準化)と検品支援ツールの判別精度向上を同時に満たす検品訓練システムを開発し,その導入効果を定量的に評価する.
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研究実績の概要 |
本研究は作業者の技能と検品精度を同時に向上させる機械学習システム構築を目的とした2年間課題である.検品対象は歯科医療に使用するドリル状器具とし次の3つのツールの開発と導入効果の測定を行う.①検品支援ツール:ラベル付けモードにおいて一定数量のサンプルに対し熟練技能者が良品または不良品のラベル付けを行う.ここで設定された基準をもとに,非熟練技能者が②検品支援ツール:訓練モードにおいて手作業による検品の訓練を行い,検品技能の向上および平準化を目指す.③ではCNNを使用した判別モデルを利用した自動検品ツールを作成する.作業者及び自動検品ツールの判別精度に目的値を設け,基準に達するまで①,②,③の作業を繰返す.特に①では単純にラベル付けをするだけでなく,判断の根拠を記録する機能を設けて②が有効に行われるよう考慮する. 1年目の本年度は②検品支援ツール:訓練モードの改良と検証実験,③自動検品ツールの開発を行った.先行研究で開発した検品訓練ツールの課題であった回答履歴の機能を追加し,自分の回答を見直すことで次の訓練の参考に出来るようにした.11名の被験者による検証実験では被験者によって正答率のばらつきが確認された.また,訓練結果のログを解析することによって訓練ツールのサンプル自体の信頼性を判定し信頼性の高いサンプルデータを用いて自動検品ツールの開発および,判別モデルのパラメータを調整して精度の向上を目指した. 得られた研究実績は国際会議1回,国内学会1回の報告を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初1年目に予定していた①検品支援ツール:ラベル付けモードの仕様決定は行わなかったが,②検品支援ツール:訓練モードおよび③自動検品ツールについては仕様決定のみならず実際に開発と検証実験を実施したので順調に進展していると判断した.尚,①の仕様決定を行わなかった理由は後述する. 特に③自動検品ツールの精度向上では機械学習の活性化関数,最適化関数,バッチサイズを変更して組合わせた数値実験のみならず,サンプル画像にキャニーフィルタやバイラテラルフィルタを用いて画像処理を施し,実験結果を比較することによって最も適した判別モデル構成を決定出来た. ②検品支援ツール:訓練モードについては被験者を用いた検証実験を行ったことにより,正解率のばらつきの原因を見極めるためのツールの再改良および検証実験の実施方法についても変更の余地があることが判明し次年度の課題が明確になった. ①検品支援ツール:ラベル付けモードはラベル付け担当者業者の技能にばらつきがあるとラベルの信用性に関わるため,訓練モードによる訓練が十分に行われ作業者の技能が平準化したのちに開発を行うのが望ましいと判断して本年度は作業を見送った.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針として,③自動検品ツールについては,ほぼ完成したと判断できたので,2年次は②検品支援ツール:訓練モードの改良と検証実験,および①検品支援ツール:ラベル付けモードの仕様決定と開発を行う. ②では作業者が訓練用サンプル画像のどこを見て製品の良/不良を判定しているかを見極めるため,画像を8分割し判断基準とした個所を明示しながら訓練出来るよう仕様変更するほか,回答のばらつきの原因を判定するために使用するサンプル画像を再選定し,表示自体はランダムで行うものの,一定回数訓練する間に全ての被験者のサンプル画像内容と表示回数が等しくなるように調整を行う.検証実験の被験者数および検証期間についても実現場を想定した内容に変更する. ②の検証実験結果から正答率が安定して高い被験者数名を抽出して①検品支援ツール:ラベル付けモードの検証実験を行う. 全てのツールが完成した後,3つのツールを用いた検品支援システムの汎用性を検証するために異なる対象(板状プラスチック製品)に対してシステムの導入を行いその有効性を検証する. また,研究成果は学会等で随時報告するとともに論文の執筆も行う.
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