研究課題/領域番号 |
22K13804
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
後藤 伸彦 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (40824959)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 複数集団メンバーシップ / 社会的アイデンティティ / 複数集団成員性 / 自己ステレオタイプ化 / 潜在的自尊感情 / 顕在的自尊感情 / well-being |
研究開始時の研究の概要 |
人は所属する集団(家族、職場、国)が多いほど自尊感情が高く、主観的な幸福感、人生満足感(well-being)が高いことが知られている。自尊感情は本人が認識できる顕在的なものと、間接的にしか測定されない潜在的なものが存在することが知られているが、潜在的自尊感情が低い場合、顕在的自尊感情が高くてもwell-beingが低いことも知られている。 本研究の代表者は所属集団の数と潜在的自尊感情が関連しないことを確認しており、この原因を解明し、所属集団の数、自尊感情、そしてwell-beingの関係を明らかにすることが本研究の目的である。これにより人の孤立・孤独とそれにまつわる社会問題を解決する新たな手法の導出を目指す。
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研究実績の概要 |
人は所属する集団(家族、職場、国)が多いほど自己報告による全体的な自尊感情が高く、主観的な幸福感、人生満足感(well-being)も高いことが知られている。ただしこのことは文化差がある可能性が指摘されており、主に中華系の学生では所属集団の多さとwell-beingが関連しないことを示すデータがある。また自己報告に拠らない自尊感情、あるいは、自己報告であっても様々な側面の自尊感情が、所属集団の多さやwell-beingとどのように関係しているのかについてはわかっていない。 2023年度は自己ステレオタイプ化とステレオタイプ内容モデルの理論に基づき、自己について暖かさと有能さの二側面からの測定を試みた。その結果、自己を暖かい、また有能であると思う程度は自尊感情、人生満足感、また孤独感と強い相関がみられた。そして重要なことに、所属集団の多さは、これらといずれも強い相関を示し、自尊感情を統制した場合、暖かさの方が有能さより所属集団の多さと高い相関係数を示した。これらの結果は、まず中華系の学生参加者を対象とした過去の研究とは異なり、日本の一般成人では、欧米の研究等と一貫して所属集団の多さが自尊感情やwell-beingと関連することを示した。つまり、所属集団の多さとwell-beingの関係の弱さは「アジア人」一般に見られるものではなく、このような違いがなぜ見られたのか引き続き調査が必要である。第二に、本研究ははじめて、自尊感情のなかでも暖かさが所属集団の多さと関連したことを示した。これは所属集団の多さが社会的サポートの受容と提供につながるとする過去の研究に一貫する結果であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は今のところ、当初の計画通りのデータが得られており、引き続き研究を推進していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
自己ステレオタイプ化とステレオタイプ内容モデルに基づいた暖かさと有能さについての自尊感情が全体的な自尊感情と高い相関が得られ、また所属集団の多さとも同様の相関を示したため、これらの刺激語を用いた潜在連合テストを作成し、自己報告と潜在連合テストによる自尊感情が、所属集団の多さと一貫して、あるいは異なる形で関連するのかを確かめる。そして、それらの関連性が個人差によって変化するのかを調べる。 研究の実施にあたっては引き続き研究補助員を雇用し研究を推進していく。
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