研究課題/領域番号 |
22K14391
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
李 雪 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (20805915)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 堆肥小屋 / 乾田馬耕 / 混構造 / 石積み / 鳥海石 / 鳥海山山麓 / 集落 / 農地 / 石積み壁 / 実測調査 |
研究開始時の研究の概要 |
秋田県の鳥海山山麓における石積み壁を持つ混構造堆肥小屋は明治末期から昭和中期までに日本型農業近代化の一環としての乾田馬耕に伴い建築され急速に広まった。しかし、現在の残存状況や拡大と変容の詳細は明らかではなく、日本農業近代化の物的証拠ともなる重要性が認識されていないのが現状である。本研究は残存状況の把握と、建設技術、生産組織、社会背景と地域住民の関わりの変容のほか、地域の特徴的な材料である鳥海石の調達と利用を明らかにする。混構造堆肥小屋を事例として、明治農法が既存の建設技術の転用や生産組織によって新しい建築様式を普及させ変容したメカニズムを明らかにするとともに、農業近代化遺産として再評価する。
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研究成果の概要 |
本研究は、秋田県内の明治末期から昭和中期までに建てられた石積み壁を持つ混構造堆肥小屋の建設経緯、残存状況、建設構法を明らかにした。文献調査を用いて、乾田馬耕の実施と堆肥小屋の誕生の関係性について日本全土を対象にし、歴史的な視点から整理した。秋田県において、特に堆肥小屋の建設に対する指導、奨励制度、補助金制度等について整理した。実測調査は、にかほ市畑福田集落に現存する堆肥小屋合計9棟を、規模、壁と小屋組の構法、母屋との位置関係、現在の用途等を実測した。堆肥小屋の立地と集落環境の関係性から堆肥小屋が建設された当時、農地からのアクセスが重視されたことも明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の研究対象である鳥海山山麓に残存する混構造堆肥小屋が日本農業近代化の物的証拠ともなる重要な近代化遺産として認識されていないのが現状である。研究成果によって民家と小屋の研究に新たな知見を追加することができ、堆肥小屋を近代農業遺産として再評価するための基礎資料としての役割も期待できる。 さらに、秋田県産の鳥海石は庭石として評価されているが建築材料としての利用は知られていない。堆肥小屋に用いられた鳥海石の運用実態から秋田県の鳥海山山麓の石文化の新たな側面を明らかにすることがで、秋田県の鳥海山山麓の石文化の再構築に意義が見られる。
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