研究課題/領域番号 |
22K14497
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
味戸 沙耶 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20903834)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 高強度鉄鋼材料 / プレス成形 / 水素脆化 / 水素可視化 |
研究開始時の研究の概要 |
高強度鉄鋼材料の安全な実用化に向けて,実用環境下における水素脆化特性の解明が希求されている.なかでも,プレス成形して使用される高強度鋼板(プレス成形鋼板)は,成形により残留応力・塑性ひずみが不均一に導入され,これらの影響を受けて水素拡散挙動に分布が生じる.そのため,プレス成形鋼板の水素脆化特性を解明するためには,プレス成形鋼板特有の3つの水素脆化影響因子(残留応力,塑性ひずみ,水素拡散)の分布の検討が肝要となる.そこで本研究では,新規な水素可視化技術も用いた水素分布計測と有限要素法を用いた残留応力,塑性ひずみ解析に基づき,プレス成形鋼板の水素脆化特性の支配因子を解明する.
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研究実績の概要 |
鉄鋼材料は高強度化が進められており、省資源・省エネルギー化に貢献している。しかし、高強度化にともない水素による破壊現象(水素脆化割れ)のリスクが高まることが問題である。そのため、高強度鉄鋼材料を実用化するためには、実用環境下における水素脆化特性の解明が必要である。自動車用高強度鋼板はプレス成形して用いられることが多く、成形により残留応力・塑性ひずみが不均一に導入され、それらの影響を受けて水素拡散挙動に分布が生じる。しかし、プレス成形鋼板の水素拡散挙動分布を計測する手法はなく、水素脆化特性の解明には至っていない。そこで本研究では、プレス成形鋼板へ適用可能な水素可視化技術を確立し、プレス成形鋼板の水素脆化特性の支配因子解明を目指している。 本年度は、プレス成形鋼板に適用可能な水素可視化膜の成膜法の確立に取り組んだ。その結果、エアブラシを用いることで、凹凸のある鋼板にも成膜できること、またその膜が鋼板を透過した水素と速やかに反応し色調が変化することを確認でき、水素可視化膜として機能することを明らかにした。また、これと並行して、水素拡散挙動解析の妥当性を検討するための応力負荷下での電気化学的水素透過挙動計測システムの確立に取り組んだ。応力負荷下で使用可能な小型水素透過セルを設計・製作し、試験の準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度実施を計画していた成膜法の検討を進めることができた。また、応力負荷下での水素透過試験の準備も整った。以上から、計画に沿っておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ひずみ分布のある鋼板を用いて水素可視化試験を行い、水素拡散挙動の分布の詳細を解析する。また、解析の妥当性について電気化学的水素透過試験を用いて精査する。その後、プレス成形鋼板について水素可視化試験を行い、FEMを用いた残留応力、ひずみ分布と水素拡散挙動との関係を明らかにし、プレス成形鋼板の水素脆化特性の支配因子を解明する。
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