研究課題/領域番号 |
22K14498
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
許 勝 東北大学, 工学研究科, 特任助教 (10907033)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 弾性歪み / 中性子回折 / 単結晶 / 格子非調和性 / サイクル熱処理 / 異常粒成長 / 弾性合金 / 水素社会 |
研究開始時の研究の概要 |
水素社会の実現に向けた液体水素の安全安定な輸送・貯蔵のために、極低温でも高弾性歪みと高強度を併せ持つ金属シール材の開発が求められている。最近申請者は、Cu-Al-Mnホイスラー合金単結晶が4%以上の巨大な弾性歪みと600MPaを超える高強度を示すことを見出した。しかし、本特性は室温付近でしか確認されていない。そこで、本研究では合金組成とミクロ組織の制御より室温から極低温までの広い温度域で巨大弾性変形を有するバルクCu-Al-Mn基単結晶材料を作製し、液体水素温度(-253℃)環境下でも高い信頼性を有しかつ再利用が可能な「巨大弾性変形金属シール材」の開発に挑む。
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研究実績の概要 |
本年度では、室温巨大弾性歪を示すCu-Al-Mn単結晶合金試料に対して、J-PARCでのその場中性子回折実験結果を解析し、試料内部の結晶学的な変化を調査した。その結果、Cu-Al-Mn合金における大きな可逆歪みの本質は、形状記憶合金の「擬弾性変形」を引き起こすマルテンサイト変態と関係なく、母相の体心立方構造を保ったまま可逆的な格子歪みが生じた真の弾性変形であることがわかった。また、合金単結晶の室温弾性定数を測った上で、様々な主要方位を有する単結晶試験片の引張試験を行った。その結果、<100>方位近傍では巨大弾性歪みと応力―歪み関係の非線形性を見出したが、<110>及び<111>方位では普通の弾性挙動である線形かつ小さな弾性変形が確認された。このことから、本合金における室温巨大弾性歪現象は立方晶の低い正方晶せん断弾性率と関連していることが判明した。さらに、第一原理計算とランダウ理論に基づいた解析も行って、エネルギー論観点からその非線形巨大弾性歪現象は格子非調和性によるものがわかった。 以上の結果により、大きな弾性歪みを生じさせるために、<100>方位を有する単結晶が不可欠であることがわかった。<100>単結晶の作製のために、一方向凝固とサイクル熱処理の組み合わせという手法を提案した。また、異常粒成長を利用した大きな単結晶材の作製を効率化させるために、サイクル熱処理条件の最適化試験を行った。その結果、サイクル熱処理の冷却・加熱速度を遅くすることで異常粒成長現象を生じやすいことがわかった。最適化した熱処理条件を利用して6cm程度長さの板状<100>単結晶試験片の作製は比較的容易に出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定していた研究内容について、ほぼ計画通りに進んでいるから。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の結果を踏まえ、サイクル熱処理によって作製した単結晶試験片を用いて極低温から室温までの機械試験を行い、合金の弾性特性(弾性歪み、ヤング率など)を系統的に評価する。また、超音波法を利用して低温域での弾性定数の測定も行う予定である。以上の結果を参考にして、本合金が低温用シール材への応用可能性を検討する。
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