研究課題/領域番号 |
22K14617
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
安中 裕大 新潟大学, 工学部, 教室系技術職員 (20835699)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 大強度電磁波源 / モード制御 / 大強度テラヘルツ波発生 / 疑似プラズモン / 電磁波の角運動量 |
研究開始時の研究の概要 |
疑似プラズモンと電子ビームの相互作用を利用した大強度テラヘルツ波源である表面波発振器が研究されている。このようなテラヘルツ波源は電子ビームが複数の疑似プラズモンモードを同時に励起するため、モード間の競合が動作効率を下げるという問題がある。本研究は疑似プラズモンが軌道角運動量を運ぶことに着目したモード制御を行う。電磁波の軌道角運動量はスピン軌道相互作用に基づく制御が知られており、そのような現象を引き起こす非一様・非等方的なプラズモニック構造を0.1THzから0.5THz帯までの表面波発振器に組み込むことでモード制御を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究ではプラズモニック構造を大強度テラヘルツ波源である表面波発振器に組み込み、そこに励起される表面電磁波のモード制御を試みる。表面波発振器は電子ビームと表面電磁波の相互作用を利用した電磁波源である。疑似プラズモンと呼ばれる表面電磁波は金属周期構造によって形成できるが、複数の電磁波モードが同時に励起することで発振器の動作効率が下がるという問題があった。本研究では疑似プラズモンを制御するためのプラズモニック構造を組み込むことでモード制御を試みる。 2022年度はプラズモニック構造を組み込んだ表面波発振器の実験を行ったほか、ベクトルネットワークアナライザを用いた金属周期構造の評価を行った。同心円周期構造に励起される電磁表面波の電界強度分布、位相、群遅延をベクトルネットワークアナライザにより計測し、分散関係と群速度を実験的に評価した。この研究成果をまとめた論文はAIP Advances誌に掲載された。また、プラズモニック構造とコルゲート導波管を組み合わせることで励起される表面電磁波モードが制御できることをベクトルネットワークアナライザを用いて確認した。この成果はPlasma and Fusion Research誌に論文掲載された。 また、プラズモニック構造を用いない場合に表面波発振器で励起されるモードを実験的に調べた。表面波発振器を構成するコルゲート導波管の長さによって不安定性が変化し、支配的に励起されるモードが変化することを確認した。この研究成果はPhysics of Plasmas誌に論文掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では2022年度にプラズモニック構造を組み込んだ表面波発振器の実験を行い、2023年度にベクトルネットワークアナライザを用いたプラズモニック構造の実験的評価を実施する予定であった。 研究計画に沿ってプラズモニック構造を組み込んだ表面波発振器の実験を行ったが、実験結果の解析に難航した。そのため、2023年度に実施予定であったベクトルネットワークアナライザを用いた実験を実施し、電子ビームの無い場合でプラズモニック構造が励起する電磁界モードの実験的解析を行った。この実験で得られた知見により、表面波発振器の実験結果の解析に進展があった。また2023年度実施予定であった研究も2022年度中に先んじて実施できた。そのため研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後はプラズモニックを組み込んだ表面波発振器の中で起こっている物理現象の解明を目的に研究を進める。そのためにベクトルネットワークアナライザを用いた実験的解析とparticle-in-cell法を用いたシミュレーションによる解析を行う。これらの解析をもとにモード制御の実現を目指す。
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