研究課題/領域番号 |
22K14658
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 東北大学 (2023) 九州大学 (2022) |
研究代表者 |
中西 匠 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40836425)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 水素結合 / プロトン移動 / スピン転移 / 中性子回折測定 / 光応答 / ヒドラゾン錯体 / 遷移金属錯体 / 電場応答 / 多核錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、電場による物性制御が可能な分子性物質の開拓を目的に、プロトン移動とスピン転移が連動して発現する現象(プロトン結合スピン転移現象)を発現する遷移金属錯体の開発を行う。特に、近年開発した分子内水素結合を有するキラル二座配位子と金属イオン間を架橋する配位子を用いることで、磁気的相互作用をもたらす三次元ネットワークを形成した多核錯体を構築する。熱および電場誘起プロトン移動と連動したスピン転移により強磁性-反強磁性のON-OFFが可能な分子性材料の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
プロトン移動とスピン転移が連動して発現する現象(プロトン結合スピン転移:PCST)に基づく機能開拓を目的に、多核錯体等への構造の拡張や機能性部位の導入が可能な新規配位子の開発を行った。サリチルヒドラジドを基盤とした配位子に適切な置換基を導入することで、新規配位子および鉄二価錯体を合成した。得られた錯体の熱および光誘起スピン転移挙動に伴うプロトン位置の変化を調べた結果、分子内の二つのプロトンが移動する熱-光誘起ダブルプロトン移動を示すことが明らかとなった。以上の結果から、本研究ではPCST錯体の設計を拡張する事が可能な新規配位子の開発に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでのプロトン結合スピン転移現象の研究では基礎的な観点から、スピン転移現象との連動に基づく新規プロトン移動現象の開拓を進めてきた。一方で、プロトン移動に基づく機能開拓を進める上で、従来のプロトン結合スピン転移錯体の設計では特徴的な構造要素(電子受容/供与性やキラリティーなど)を有する置換基や配位子の導入による物質探索が困難であるという課題があった。本研究で新たに開発した配位子は多様な置換基を導入可能な部位を有しており、また二座や四座配位子への拡張が可能であることから、架橋配位子に基づく多核錯体化やキラル部位の導入による極性構造の形成など従来では困難であった物質設計が実現出来ると期待される。
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