研究課題/領域番号 |
22K14662
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山科 雅裕 東京工業大学, 理学院, 助教 (80847153)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | シュタウディンガー反応 / 両親媒性分子 / ミセル / アザイリド |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、シュタウディンガー反応によるアザイリド骨格形成を通じて、古典的な系とは一線を画する新たなモノメリック型/ジェミニ型両親媒性分子の開発と性能評価を行うことである。この基本戦略として、ごく最近申請者が開発した両親媒性分子の簡易合成法を活用し、三置換ホスフィンに親水基を直接導入することで両親媒性分子化を達成する。また、系統的な自己集合・分子内包能の評価により分子間相互作用と超分子的挙動の相補理解を遂行し、超分子化学の研究領域を進歩させることを狙う。
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研究実績の概要 |
本研究では、シュタウディンガー反応によるアザイリド(N=P)結合形成を通じて、古典的な系とは一線を画する新たなモノメリック型/ジェミニ型両親媒性分子の開発と性能評価を行うことである。 本年度は、1.幅広い疎水π面を有するモノメリック型両親媒性分子の合成と集合能評価、2.新奇ジェミニ型両親媒性分子の合成を行った。具体的な成果は次の通りである。1に関して、本研究では両親媒性分子の疎水部を担う疎水性ホスフィンとして、トリナフチルホスフィンやトリビフェニルホスフィンを採用した。既存の親水性アジドは、対象とするホスフィン化合物とアザイリド(N=P)結合で連結されたが、得られた化合物は疎水性が高く水に難溶であった。そこで、新たに親水側鎖を2つもつ親水性アジドを合成し同様の操作を行った。その結果、得られた分子は水に溶け、水中で球状集合体を構築することが各種分析より明らかとなった。特筆すべき点は、両親媒性分子の疎水π面が広がった本分子は、先行研究の両親媒性分子より疎水的な色素分子を効率よくミセル空間に取り込むことが判明した。2に関して、ビス(ジフェニルホスフィノ)アルカン(DPPA)を基盤としたジェミニ型両親媒性分子の合成を行った。DPPAは有機金属配位子として頻用されているが、本研究ではDPPAがさまざまな炭素鎖リンカーをもつ誘導体が市販されていることに着目し、これらの両親媒性分子化と集合能の検証を行った。本年度は、DPPAを疎水部にもつ両親媒性分子の合成と集合能を評価した。DPPAに親水性アジドを2:1の比率で混合したところ、狙い通り対応するジェミニ型両親媒性分子が定量的に得られた。同様の操作で、炭素数が1-6の誘導体の合成に成功した。予備的な検討で、得られた両親媒性分子を水中に溶解されると、2-3分子程度が集まった約2ナノメートルの集合体の存在が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究課題として掲げた新奇モノメリック型とジェミニ型両親媒性分子の合成を達成した。前者のモノメリック型両親媒性分子は、対象分子の合成だけではなく、ミセル集合体の構造や分子内包能など、十分な知見を得ることができた。一方、ジェミニ型分子は対象分子を合成できたことに加え、水中で集合体形成を示唆する測定結果が得られた。以上のことから、研究課題は当初の計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はジェミニ型両親媒性分子の集合構造や分子内包能、炭素数の偶奇性や対応するモノメリック型との差異などの物性評価を中心に行う。本年度得られたモノメリック型両親媒性分子の成果はひとまとめとし、次年度では新たな官能基をもつホスフィン化合物から両親媒性分子の合成検討を行い、申請者が開発した手法の汎用性の拡張を目指す。
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