研究課題/領域番号 |
22K14714
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
立石 一希 三重大学, 国際環境教育研究センター, 助教 (20828785)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 光触媒 / 共有結合有機構造体 / 窒化炭素 / 共有結合性有機構造体 / 水素生成 |
研究開始時の研究の概要 |
光触媒による水素生成は太陽光をエネルギー源として水を分解することによって、温室効果ガスを排出せずに水素エネルギーを生成することが出来るため、太陽光下で高効率の活性がある光触媒の開発が必要とされている。しかし、光触媒活性が足りない。本研究では、有機光触媒であるグラファイト状窒化炭素のトリアジン環平面内に、酸素をドーピングしたものと共有結合構造体とで、分子平面内での接合を形成することにより、光吸収能力を改良しつつ、電荷分離効率を改善させた、新たな実用レベルの光触媒系の構築を目的とする。このような活性向上方法が確立できれば、有機光触媒開発のための基盤データになりえる。
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研究実績の概要 |
光触媒による水素生成は太陽光をエネルギー源として水を分解することによって、温室効果ガスを排出せずに水素を生成することが出来るため、太陽光下で高活性がある光触媒の開発が必要とされている。しかし、小さい比表面積・低い吸光特性・光生成電子正孔対の再結合率の高さが光触媒活性を制限している。これらを解決するために、光触媒中に異種元素をドープすることでバンド構造を操作し、吸収できる波長を拡大する手法、そして適切な電子構造を有する異なる光触媒を接合し、その接合面を通して光励起電子―正孔対の分離の促進させるヘテロ接合という手法を分子内平面上で同時に施すことにより、光触媒活性の向上を目指す。 本年度は、共有結合有機構造体(COF)の調製方法の検討とヘテロ接合光触媒の素材となる窒化炭素とCOFの修飾方法を検討し、コンポジットできているか特性評価を行った。共有結合有機構造体について、Tp-Pa-COFとTp-Tta-COFを用いた際、比較的大きい光触媒活性が確認された。そのため、この二つの共有結合有機構造体について、まず、酸素をドープしていない未修飾の窒化炭素とのコンポジット方法を検討した。検討の結果、Tp-Tta-COFの調製時にTtaと窒化炭素を先に混合させた場合のコンポジットのみ、光触媒活性の向上が見られた。特性評価については、XPSによる元素分析、分光蛍光光度計、過渡光電流応答測定による電荷分離効率測定、拡散反射紫外‐可視分光光度計によりバンドギャップの推定を行った。XPSによる元素分析を行った結果、窒化炭素単体より、Tp-Tta-COFとコンポジットしたものはTp由来と考えられる酸素原子の割合が増加していた。また、分光蛍光光度計、過渡光電流応答測定により、電子-正孔対の効率的な分離促進を確認できた。以上のことから、窒化炭素とCOFを効率的にヘテロ接合する方法を確立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、COFを分子内修飾させた窒化炭素の調製方法を検討し、光触媒的水素生成を行い、活性促進、電荷分離効率の改善が確認できた。このことは、当初の予定通りであり、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度確立した方法を用いて、ドーピング修飾を行った窒化炭素にCOFを分子内修飾していき、水素生成活性評価と量子収率測定を詳細に行う。また、COFを分子内修飾した窒化炭素の光触媒について、構造解析を行い、更なる活性向上に向けた知見を得る。
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