研究課題/領域番号 |
22K14981
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
徳武 優佳子 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (90824657)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 小胞体ストレス / 暑熱 / ブロイラー / 4-フェニル酪酸 / 肉用鶏 |
研究開始時の研究の概要 |
熱刺激は小胞体ストレスを促す。暑熱と小胞体ストレスとの関連性を明らかにするため、ブロイラーに小胞体ストレス軽減薬4-フェニル酪酸(4-PBA)を給与したところ、暑熱によるブロイラーの体温上昇が抑制された。すなわち、小胞体ストレスの軽減は熱射病抑止に効果があると考えられるが、体温上昇の抑制が起きた要因は明らかではない上、4-PBAの給与も産業的には実現困難である。そこで①暑熱下のブロイラーにおいて小胞体ストレスがどのように体温調節に影響したのか機序の解明および、②小胞体ストレス軽減効果のある資源の探索を目指す。本研究はブロイラーの熱射病抑止に寄与する飼養法開発の足掛かりとなることが期待される。
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研究実績の概要 |
熱刺激によって細胞内では小胞体ストレスが引き起こされる。過去の研究では、ブロイラーに小胞体ストレス軽減薬として知られる4-フェニル酪酸(4-PBA)を給与することにより、暑熱によるブロイラーの体温上昇が抑制されることが見出された。本申請課題では、暑熱下のブロイラーにおいて小胞体ストレスがどの組織で体温調節に影響したのかを明らかにする他、in vitro試験による小胞体ストレス軽減効果のある資源の探索を目指した。まず、4-PBAと同様に小胞体ストレス軽減作用を持つことが知られるタウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)を10日間給与したブロイラーを急性暑熱(36℃ RH50%、2時間)に曝露した後、暑熱に伴う傷害を受けやすく、体温調節にも関わりが深い、骨格筋(浅胸筋)、脳(全脳)、腸管(空腸上皮)の小胞体ストレス度合いを調べた。全ての組織で暑熱区では小胞体ストレスが増加した一方、TUDCA給与によって有意な小胞体ストレスの軽減が確認されたのは脳だけであった。また、TUDCA給与では体温上昇の抑制効果は見られなかった。したがって、脳での小胞体ストレス軽減は体温抑制に寄与しないことが明らかとなった。続いて、小胞体ストレス軽減作用のある資源を探索するため、100種類の既知の化合物からなる天然化合物ライブラリを対象とし、小胞体ストレス誘導遺伝子の転写抑制効果を有する化合物を探索したところ、植物由来フェニルプロパノイドの一種では小胞体ストレス応答経路であるIRE1-XBP1シグナルの活性が増強することによって、熱誘導性ストレスが緩和されている可能性が示唆された。本研究によって、体温調節に関わる組織と小胞体ストレスとの関連性の一端が明らかになった他、小胞体ストレス減弱化に働く可能性のある天然化合物の同定に成功した。
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