研究課題/領域番号 |
22K15164
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 大地 筑波大学, 生命環境系, 助教 (60866672)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ヌタウナギ / 嗅覚受容体 / 進化 / ヤツメウナギ / 円口類 / 嗅電図 |
研究開始時の研究の概要 |
嗅覚は、とりわけ激しく光が減衰し視界の悪い水中において、視覚に劣らず生存に重要な感覚である。初期の脊椎動物も水中生活を送っていたため、初期脊椎動物における嗅覚の進化を明らかにすることは、われわれヒトを含めた脊椎動物の来歴を理解するうえで不可欠である。そこで本研究では円口類(ヌタウナギとヤツメウナギ)の嗅覚受容について、嗅覚受容体遺伝子の探索と分子系統解析、嗅覚受容体遺伝子の発現解析、におい物質に対する嗅上皮の応答性の電気生理学的比較を組み合わせて調べることで、初期脊椎動物における嗅覚受容メカニズムの進化的起源および多様化の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
まず、ヌタウナギのゲノム情報から嗅覚受容体遺伝子を探索し、分子系統解析を行った。その結果、ヌタウナギの嗅覚受容体はヌタウナギの系統独自に著しく多様化していることがわかった。とりわけ、V2Rの多様化が顕著であった。次に、トランスクリプトーム解析およびin situ hybridization法による発現解析を実施した結果、上記の嗅覚受容体遺伝子のほとんどが嗅上皮で発現し少なくとも一部がとくに嗅細胞で発現していることが確かめられた。以上の結果により、ヌタウナギは脊椎動物の祖先の状態を引き継ぎつつ独自に嗅覚受容メカニズムを多様化させていることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「原始的」な脊椎動物であるヌタウナギについて、嗅覚受容体(におい物質を受容するための分子)にどのようなものがあるのか調べた。その結果、ヌタウナギの系統だけで多様化した嗅覚受容体が多数見つかった。これらの受容体が、確かに嗅覚器に分布しており、嗅覚受容体としてはたらいていることが示唆された。この発見は、嗅覚の進化的起源と初期の多様化を理解するうえで重要なヒントとなる。
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