研究課題
若手研究
医薬品による治療効果や副作用発現には著しい個人差が存在するため、患者個々に最適な医薬品を最適な投与量で用いる個別化薬物療法の実践が重要である。薬物代謝酵素CYP3A4は、発現量や代謝活性に著しい個人差が存在することが明らかとなっており、CYP3A4は臨床現場で汎用されている医薬品の30%以上の代謝反応を触媒することから、その活性の個人差は様々な医薬品の治療効果や副作用発現に影響しうる。そこで本研究では、患者個々の医薬品投与時点におけるCYP3A4酵素活性を予測するため、血中薬物濃度測定と尿中におけるCYP3A4活性予測バイオマーカーの有用性を精査する。
患者個々の医薬品投与時点におけるCYP3A4酵素活性を予測するため、尿中におけるCYP3A4活性予測バイオマーカーの有用性を精査した。はじめに、尿中内因性バイオマーカーのLC-MS/MSによる一斉定量系を構築した。レンバチニブやタクロリムスを服用する患者における血中薬物濃度と尿中バイオマーカー濃度やCYP3A遺伝子多型の関連を解析したところ、血中薬物濃度とCYP3A遺伝子多型の関連は認められた一方、本研究における尿中バイオマーカーの予測精度は不十分であり、更なる解析が必要となることが明らかとなった。
現在の医療における薬物療法は、同一疾患を有する患者に対して治療ガイドラインに基づいた医薬品の選択が行われる標準治療が一般的であり、個別化薬物療法の臨床現場における実践例は限定的である。しかし、医薬品による治療効果や副作用発現には著しい個人差が存在するため、患者個々に最適な医薬品を最適な投与量で用いる個別化薬物療法の実践が重要である。本研究は非侵襲的な方法による投与量最適化を目指しており、患者個々における治療効果の最大化や副作用発現リスクの軽減などの治療管理に極めて重要となり、本成果は今後の更なる臨床研究に有益な知見となる。
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Yakugaku Zasshi
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