研究課題/領域番号 |
22K15378
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
鈴木 隆介 金沢大学, がん進展制御研究所, 博士研究員 (70882215)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 染色体異数性 / 細胞分裂 / 染色体安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
染色体安定性は、正常な発生や恒常性の維持に必要不可欠であり、その破綻は、染色体数が正常細胞とは異なる異数性を誘導し、細胞のがん化やがんの悪性化に寄与すると考えられている。しかし、染色体分配にかかわる鍵分子のダイナミックな局在変化を制御するメカニズムについては、ほとんど知見が得られていないのが現状である。本研究では、モーターアダプターJSAPの欠失あるいは発現亢進が、染色体分配異常および異数性を誘導するという世界で初めての発見をもとに、染色体安定性の制御機構をモーターアダプターという全く新しい視点で解析する。
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研究実績の概要 |
染色体安定性は、正常な発生や恒常性の維持に必要不可欠であり、その破綻により引き起こされる異数性は、細胞のがん化やがんの悪性化に寄与すると考えられている。これまでの研究により、染色体安定性制御因子の細胞分裂期特異的な局在が、染色体安定性の維持に重要であることが示されている一方、その時空間的制御については未だ十分な理解に至っていない。本研究では、モーターアダプターJSAP1/2欠失またはJSAP2発現亢進により異数性が誘導されるという予備的知見をもとに、モーターアダプターという全く新しい着眼点から染色体安定性の制御機構の解明を目指す。 本年度は、まず、JSAP2発現亢進が、分裂期の染色体分配に与える影響を検討した。ヒト正常二倍体不死化RPE-1細胞において、GFP融合ヒストン2Bを用いて染色体を可視化し、タイムラプス解析により分裂期の染色体動態について経時的な観察を行った。その結果、JSAP2発現亢進が、遅延染色体をはじめとする染色体分配異常の頻度を顕著に上昇させることを見出した。現在、異数性を誘導しなかったモーターアダプター結合変異体JSAP2の発現が、染色体分配に与える影響について解析を進めている。次に、JSAP2と機能的な冗長性を示すことが知られているJSAP1の発現亢進が、JSAP2発現亢進と同様に異数性を誘導するか明らかにするため、JSAP1発現レンチウイルスベクターを作製した。これを用いて、RPE-1細胞においてJSAP1発現亢進を行い、染色体数の解析を行ったところ、異数性の誘導が認められた。さらに、JSAP欠失について、オーキシン添加により標的タンパク質の迅速分解が可能なAIDシステムの樹立に向けて準備を進めている。現在までに、JSAP2を標的としたAIDシステムの樹立が完了しており、約2時間でJSAP2の欠失が誘導されることを確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分裂期の染色体分配を経時的に観察できる実験系を用いて、JSAP2の発現亢進が、異数性誘導に主たる要因である染色体分配異常を引き起こすことを明らかすることができた。さらに、次年度に行う、AIDシステムによるJSAPの欠失誘導可能な実験系を用いた解析に向けた準備も滞りなく進んでいることから、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、誘導及び調節可能な実験系である、Tet-ONシステムによるJSAP発現亢進やAIDシステムによるJSAPの欠失を利用して、細胞分裂期における染色体安定性制御因子の局在や発現に焦点を当てた解析を行い、染色体安定性の制御におけるJSAPの機能について明らかにする予定である。
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