研究課題/領域番号 |
22K15522
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
衞藤 翔太郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (50940087)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | がん微小環境 / 転移ニッチ / 腫瘍微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
がん細胞の転移を支える微小環境(転移ニッチ)は有望な治療標的となりうる。近年の解析から、転移ニッチは原発腫瘍における微小環境とは細胞集団や遺伝子発現が大きく異なる一方で、転移臓器ごとに共通した特徴を示すことがわかってきた。しかし、その差異を生むメカニズムは明らかになっていない。本研究では、死滅したがん細胞から放出される自己由来分子群(DAMPs)に着目し、DAMPsを起点とした組織特異的な転移ニッチ形成メカニズムと肺および肝臓のそれぞれで特異的に働く新規DAMPs分子の同定を目指す。これによって、がんの種類に依らない、転移が存在する解剖学的な”位置”に特異的な新規治療法の提案を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では転移がん細胞およびその周囲の転移ニッチ細胞の遺伝子発現解析を行い、組織特異的な転移ニッチ形成メカニズムを検討した。その結果、肺転移がん細胞では肝臓と比較してYAP/TAZシグナルの活性化が認められた。YAP/TAZを阻害すると、肺における腫瘍の成長が遅延し、腫瘍周囲CD8+T細胞が増加した。一方、肝転移ではミエロイド細胞がArg1を高発現していた。これはがん細胞由来液性因子と肝臓の低酸素環境によって相乗的に誘導される現象であることもわかった。またがん細胞周辺の肝実質細胞の遺伝子発現解析を行った結果、がん細胞周囲で肝実質再生応答が起こっている可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によって、臓器特異的な遺伝子発現やシグナル経路を同定することができた。これらを阻害する薬剤は、肺転移および肝転移特異的な治療法になりうる。がんの種類に依らない、転移が存在する解剖学的な”位置”に特異的な新規治療法開発のための足がかりとなる結果を得ることができたと考えている。またがん細胞周囲の肝実質細胞についてはほとんど研究がなされておらず、今後これらの活性化の意義を明らかにすることで、肝転移に特異的な治療法の開発につながると考えられる。
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