研究課題
若手研究
胆道癌の予後不良な難治癌の一つであり、病態解明と新規治療法の開発が急務である。胆道癌の発生部位により遺伝子変異プロファイルが異なることが明らかにされているが、個々の遺伝子変異の胆道癌における役割は明らかとなっていない。本研究においては、胆道癌の発生部位の違いによる発癌メカニズムの違い、また胆嚢癌において高率に遺伝子変異を認めるELF3遺伝子がどのように発癌に関与するかの解明を試みる。
胆嚢腫瘍形成におけるELF3の役割の詳細を、ヒト検体・パブリックデータ、マウスモデル、オルガノイドなどを用いて解明を図った。ELF3は腫瘍抑制性の働きを行っていることが明らかとなり、それはEREGおよびその下流のAKT/PI3K/mTORC1の制御によるものと考えられた。ELF3の欠損は最終的にEMTの亢進につながり、腫瘍形成が促進された。ELF3が欠損するとAKT/PI3K/mTORC1経路への依存性が高まるため、mTORC1の阻害により腫瘍が抑制されることより、ELF3変異胆嚢癌の治療標的となる可能性が考えられた。
胆道癌は予後不良な難治癌の一つであり、予後改善・新規治療薬の開発には、その病態解明が必須である。ELF3は胆嚢癌において21%に変異を認めるという報告があり、がん抑制性の役割を担っていると考えられていたものの、詳細は不明であった。本研究でその病態形成の詳細を明らかにすることが出来た。実際の新規治療法開発には更なる検討が必要と考えられる。
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J Pathol
巻: 261 号: 1 ページ: 28-42
10.1002/path.6144