研究課題/領域番号 |
22K15584
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木庭 遼 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10866776)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | PET / 胃癌 / 分化度 / 代謝 / 免疫抑制細胞 / 腫瘍微小免疫環境 / single cell RNA sequence / 次世代プロテオミクス解析 / 質量分析イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
近年、免疫抑制機能を有する腫瘍関連マクロファージ(TAM)と骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)におけるグルコース代謝が活発であると報告されているが、腫瘍微小免疫環境内(TIME)における癌細胞サブタイプと免疫細胞に関連した報告は少ない。本研究ではPET陽性胃癌と癌細胞のサブタイプに着目し、scRNA-seq、次世代プロテオミクス解析、質量分析イメージング(MALDI-IMS)の3手法の網羅的解析を用いて、癌細胞サブタイプ毎のTIMEと癌細胞免疫逃避機構のメカニズムを明らかにすることで、免疫抑制細胞自体の不活性あるいは免疫抑制細胞を活性化する代謝環境の改変につながる新規治療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
胃癌は世界で減少傾向であるものの本邦における罹患率・死亡数は依然として高く、胃癌の治療抵抗性の克服は解決すべき課題である。本研究ではPET陽性胃癌と癌細胞のサブタイプに着目し、免疫抑制細胞の機能、局在、そして代謝の変動を評価する。これにより、癌細胞サブタイプ毎の腫瘍免疫微小環境と癌細胞免疫逃避機構のメカニズムを明らかにすることを目的とした。そして、免疫抑制細胞を活性化する代謝環境の改変につながる新規治療法の開発を目指している。 今年度は胃管状腺癌、低分化型充実型胃癌、低分化型非充実型胃癌、胃印環細胞癌のシングル遺伝子発現解析を行った。近年、免疫抑制機能を有する腫瘍関連マクロファージ (TAM)と骨髄由来抑制細胞 (MDSC)でグルコース代謝が最も活発であることが報告されたが、PET陰性になる頻度が比較的高い印環細胞癌ではグルコーストランスポーター関連遺伝子(GLUT-1-4)の発現が高値であり、TCA回路関連遺伝子・核酸合成経路関連遺伝子・脂肪酸関連遺伝子の発現が高値であることが判明した。一方、低分化型充実型胃癌ではグルタミン酸トランスポーター(ASCT2)の発現がそれ以外の胃癌と比較して高値であった。以上から分化度によって代謝環境が異なる可能性が示唆された。今後、免疫抑制機能を有するTAMやMDSCにおける代謝関連遺伝子を評価し、細胞サブタイプ毎の腫瘍免疫微小環境と癌細胞免疫逃避機構のメカニズムを明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胃管状腺癌、低分化型充実型胃癌、低分化型非充実型胃癌、胃印環細胞癌のシングル遺伝子発現解析を行い、PET陰性になる頻度が比較的高い印環細胞癌ではグルコーストランスポーター関連遺伝子(GLUT-1-4)の発現が高値であり、TCA回路関連遺伝子・核酸合成経路関連遺伝子・脂肪酸関連遺伝子の発現が高値であることが判明した。一方、低分化型充実型胃癌ではグルタミン酸トランスポーター(ASCT2)の発現がそれ以外の胃癌と比較して高値であった。分化度によって代謝環境が異なる可能性を示すことができたため、上記区分に評価した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでPET陰性になる頻度が比較的高いと報告されているスキルス胃癌の次世代プロテオミクス解析 (iMPAQT法)による評価やPET陽性胃癌とPET陰性胃癌のシングルセル遺伝子発現解析を施行しているため、この結果からPET陰性胃癌の代謝環境について網羅的に評価する。PET陽性の有無による代謝環境の違いと存在する免疫抑制細胞の相関を明らかにし、分化度とPET判定による新たな個別化治療を目指す。
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