研究課題/領域番号 |
22K15682
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
加藤 尚也 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90841974)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ウェルナー症候群 / iPS細胞 / 早老症 / 老化 / 核酸代謝 / 間葉系幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝性早老症であるウェルナー症候群は、思春期以降に様々な老化徴候が出現し、促進されるため、ヒトにおける老化のモデル疾患として注目されている。糖尿病、動脈硬化、悪性腫瘍などを若年で高率に発症するが、その早期老化病態の背景にある機序は不明である。申請者はこれまで、複数のWS患者からiPS細胞を樹立、ゲノム編集技術を用いて原因遺伝子WRNの遺伝子修復を行い、分化細胞において早期老化が抑制されることを見出した。本研究では、核酸代謝を中心とした代謝物の変化が、WSの早期老化徴候に与える影響を明らかにし、一般老化と共通する新規老化機序の解明並びに抗老化治療開発への足がかりとする。
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研究実績の概要 |
本研究ではWSにおけるメタボローム発現プロファイルを明らかにすることで、WSの早期老化症候と代謝異常との関連を解明する。我々は、これまでに8名のWS患者由来体細胞に山中4因子を導入し、iPS細胞を樹立、CRISPR/Cas9により原因遺伝子WRNを修復したiPS細胞株を樹立した(Kato H. Stem Cell Res. 2021)。これらの細胞をMSCへと分化誘導することで、以下のデータを得た。1. 健常者iPS細胞由来MSCに比して、WS-iMSCは早期老化徴候を示す(Funayama S, Kato H, et al. bioRxiv. 2021)。 2. WRN遺伝子を修復したiMSC(修復iMSC)では、早期老化徴候が抑制される。 3. トランスクリプトーム解析において、WS-iMSCおよびWS患者由来皮膚線維芽細胞では、DNA代謝における重要な律速遺伝子の発現が低下している。 4. 同遺伝子の代謝関連産物を補充することで、WS-iMSCの早期老化徴候が抑制され、細胞内における核酸代謝産物の濃度が上昇する。また、以上に加えて、我々は、WS-iPS細胞を、血管内皮細胞、マクロファージ、脂肪細胞へと分化させる系を確立しており、これらの細胞は健常群に比して、IL-6やIL-8等の老化関連炎症マーカーが上昇することを見出している。更には、WS患者から直接得たサンプルを用いたオミクス解析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画と相違ないため。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroで得られた結果をin vivoで再現できるかどうか、wrn-1 KO C.elegansや患者由来検体を用いて検討し、老化関連代謝プロファイルの変化を観察することで、新たなバイオマーカーの発見に繋げていきたい。
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