研究課題/領域番号 |
22K16220
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
石内 直樹 広島大学, 医系科学研究科(医), 特任助教 (30898010)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | MSC / Thrombomodulin / アデノ随伴ウイルス / 血栓 / 間葉系幹細胞 / 腎線維化 |
研究開始時の研究の概要 |
骨髄由来および脂肪由来の間葉系幹細胞:Mesenchymal Stem Cells (MSC) は、抗線維化作用を有することが報告されている。脂肪由来のMSCは脂肪組織より容易に樹立することが可能であるが、骨髄由来のMSCと比較して血液凝固作用が強く、血栓症のリスクが懸念される。本研究では、抗凝固因子の一つであるThrombomodulinをアデノ随伴ウイルスにより過剰発現させた脂肪由来のMSCを作製し、MSCの血栓症リスクを抑制することができるかを明らかにするとともに、ラット腎虚血再灌流モデルにおける腎線維化の進展を強力に抑制できるかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
ラット腎障害モデルに対する腎線維化の進展抑制において、骨髄由来および脂肪由来の間葉系幹細胞:Mesenchymal Stem Cells (MSC) の移植療法は、いずれも有効であることが報告されている。MSC自体は免疫原生が弱いため、他家の脂肪由来MSCを臨床応用することができれば大量の細胞ソースを確立できる。しかし、脂肪由来MSCは骨髄由来MSCと比較して血液凝固作用が強く、血栓症のリスクが懸念される。本研究では、抗凝固因子の一つであるThrombomodulin(TM)をアデノ随伴ウイルスにより過剰発現させた脂肪由来MSCを作製し、MSCの血栓症リスクを抑制することができるかを明らかにする。我々はアデノ随伴ウイルスを用いてTMを高発現させた脂肪由来MSCを作製することに成功した。またMOIの濃度依存的にTMの発現量が増加することを確認した。次に7週齢雄SDラットの右腎を切除し、その1週間後に左腎を45分遮断し再灌流させた片腎摘出+腎虚血再灌流モデルを作製し、TMを過剰発現させた脂肪由来MSC(TM-MSC)と空の遺伝子配列を挿入した脂肪由来MSC(Control-MSC)をそれぞれ50万cellsずつ左腎動脈より投与した。このモデルでは腎臓に血栓形成をきたすと片腎のため腎不全によって死亡する。生存率を比較したところ、Control-MSC投与群と比べてTM-MSC投与群では、生存率が有意に高いことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々はアデノ随伴ウイルスを用いてTMを高発現させた脂肪由来MSCを作製することに成功した。またMOIの濃度依存的にTMの発現量が増加することを確認した。次に7週齢雄SDラットの右腎を切除し、その1週間後に左腎を45分遮断し再灌流させた片腎摘出+腎虚血再灌流モデルを作製し、TM-MSCとControl-MSCをそれぞれ50万cellsずつ左腎動脈より投与した。このモデルでは腎臓に血栓形成をきたすと片腎のため腎不全によって死亡する。生存率を比較したところ、Control-MSC投与群と比べてTM-MSC投与群では、生存率が有意に高いことを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
8週齢雄SDラットの左腎を60分遮断し、再灌流後に左腎動脈よりTM-MSCとControl-MSCを投与し、1週間後に採取した腎臓で炎症細胞浸潤の程度を、3週間後に採取した腎臓で線維化の程度を、各群で比較する。また尾静脈よりTM-MSCとControl-MSCをそれぞれ高容量投与し肺塞栓症の発症の程度を比較する。さらに血栓とMSCの局在に関しても明らかにしていく。
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