研究課題/領域番号 |
22K16281
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
石井 香 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (90448267)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 汗アレルギー / 皮膚バリア / 汗腺からの汗漏出 / 汗中サイトカイン / 汗による炎症 / アトピー性皮膚炎 / コリン性蕁麻疹 / 真皮線維芽細胞 / 汗真皮内漏出 / IL-1β / 汗アジュバント効果 / タイトジャンクション / 汗 / アジュバント効果 / ケラチノサイト / 汗腺 / Claudin3 / サイトカイン / 汗抗原 / Claudin-3 |
研究開始時の研究の概要 |
多くのアトピー性皮膚炎とコリン性蕁麻疹では、汗中のマラセチア由来抗原(汗抗原)に対する特異的IgEが検出され、これらの患者では汗管から真皮内に汗が漏れ出ることから、経皮感作における抗原侵入経路の違いが特異的抗体産生に及ぼす影響と、汗自体が持つ抗原感作におけるアジュバント効果の可能性を追求する。 実際には、汗管バリアを構成するClaudin-3のKOマウスの足裏汗腺から汗抗原感作を行い特異的抗体産生について検討する。さらに抗原感作時の汗の作用をin vitroでケラチノサイトや樹状細胞で確認し、アジュバント機能が特定された分子と汗抗原を用い、ヒトの抗原呈示細胞を介した抗体産生の機序を検討する。
|
研究成果の概要 |
アトピー性皮膚炎やコリン性蕁麻疹などの皮膚疾患で真皮内に汗が漏出することを踏まえ、真皮線維芽細胞(NHDF)を汗刺激すると複数の炎症性サイトカインやケモカインの強い発現増強が見られ、これらの活性は汗中に含まれるIL-1βが主要因子であることを特定し、汗漏出による炎症の可能性を示唆した。また真皮線維芽細胞と表皮角化細胞(HaCaT)を共培養することで汗刺激による線維芽細胞の炎症性サイトカイン増強を抑制することを見出した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は汗中IL-1βが真皮線維芽細胞の炎症性サイトカインやケモカインの発現増強することを示し、真皮内に汗漏出することで線維芽細胞を刺激し炎症を引き起こす可能性を示唆した。汗の真皮内漏出が確認されているアトピー性皮膚炎やコリン性蕁麻疹患者の多くは発汗時の強い痒みや汗アレルギーに関わる汗主要抗原に対する特異的IgE抗体が検出されており今回の結果はこれらのメカニズムを解明する重要な事象と考えられる。 また汗刺激による真皮線維芽細胞の炎症増強を表皮角化細胞が抑制する事実は、表皮と真皮の相互作用による恒常性維持を示唆しており炎症抑制因子の追求は汗アレルギーを伴う上記疾患等の治療応用の可能性を含んでいる。
|