研究課題/領域番号 |
22K16316
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
池田 翔 秋田大学, 医学系研究科, 講師 (20791495)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 多発性骨髄腫 / 低酸素 / MAFB / HMOX1 / ROS |
研究開始時の研究の概要 |
難治性の造血器腫瘍である多発性骨髄腫は、さまざまな遺伝子異常をもつことが知られているが、遺伝子異常が実際の治療法の選択に影響するという知見はまだ得られていない。骨髄腫のハイリスク遺伝子異常により過剰発現する転写因子MAFBは、低酸素ストレスで発現が上昇する。したがって、低酸素環境である骨髄微小環境では、MAFBが誘導する因子が骨髄腫細胞の治療抵抗性を高めているのではないかと思われる。本研究では、低酸素環境におけるMAFBの機能を明らかにし、新規治療戦略や治療標的を、治療の層別化法を明らかにすることでを目的としている。
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研究成果の概要 |
本研究では、難治性の造血器腫瘍である多発性骨髄腫の治療抵抗性に関与する骨髄微小環境の低酸素ストレスとがん遺伝子MAFBの働きについて検討した。MAFBは低酸素環境で増加する活性酸素種(ROS)を中和するHMOX1遺伝子の発現と強い正の相関を示し、そのノックダウンによる阻害でHMOX1は低下した。また、ノックダウン細胞株を用いたin vitroおよびin vivoの実験により、HMOX1はROSを中和することでプロテアソーム阻害薬の抵抗性に関与していると考えられた。したがってMAFBはジェネティックだけでなくエピジェネティックな高発現により治療抵抗性に関与していると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によって多発性骨髄腫において低酸素応答が抗がん剤を効きにくくすることが改めて確認された。がん遺伝子MAFBはがん細胞の遺伝子異常高発現するがん遺伝子であるが、低酸素ストレスによっても発現が非常に高まることがはじめて明らかとなった。MAFBの機能として、さまざまながん遺伝子の発現を高める役割が知られているが、その中にHMOX1遺伝子があることを突き止めた。HMOX1は活性酸素を中和することでがん細胞を守っている。HMOX1がなくなると抗がん剤であるプロテアソーム阻害薬の効きが良くなった。したがって、低酸素ストレスが起こすMAFBの高発現は治療の標的になりうると考えられた。
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