研究課題/領域番号 |
22K16660
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
畝田 篤仁 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (20865927)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 膠芽腫 / 微小環境 / YAP/TAZ / 幹細胞 / TEAD |
研究開始時の研究の概要 |
膠芽腫は難治な腫瘍であり、新たな治療法が望まれている。膠芽腫の不均一性と間葉系微小環境は、治療抵抗性の主な要因として注目されている。膠芽腫幹細胞と、それが分化して生成される分化型膠芽腫細胞(DGC)の解析により、DGCはYAP/TAZ-TEAD-CCN1経路を介して腫瘍内へのマクロファージ浸潤を促進しており、YAP/TAZ-TEADが膠芽腫の間葉系微小環境構築における重要因子であることをわかった。本研究では、膠芽腫の微小環境改善を目指したYAP/TAZ-TEAD阻害剤による新たな治療戦略を開発する。さらにシングルセル解析により微小環境の変化を解析し、新たな治療戦略へと繋げることを目標とする
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研究実績の概要 |
膠芽腫は最も頻度の高い脳原発性悪性腫瘍である。高浸潤能と治療抵抗性のため完治が期待できず極めて予後が悪い。これまでの研究で、膠芽腫は強い腫瘍内多様性を有しており、異なったクローンが独立して生存に有利な特徴を獲得しながら進展していると考えられている。生存したクローンは治療抵抗性や高悪性度化、浸潤、播種に関与すると考えられ、腫瘍内多様性の獲得機構の解明を行うことが新規の治療開発につながると考えられる。 ハッシュタグ法およびCITE-seq を併用したシングルセル及びシングル核マルチオームライブラリー構築のプロトコール確立のため、本年度は膠芽腫20症例のサンプル調整の検討を行った。物理的及び酵素反応による一細胞化処理、Debris、赤血球除去、凝集細胞のフィルタリングの条件検討を行い、 安定して生存率80%以上のサンプルを調整することが可能となった。確立したプロトコールによるサンプル調整を行い、これまでに4症例14箇所のサンプルからシングルセル及び核ライブラリーを作成しシークエンス解析を行った。シークエンスデータの解析の結果、腫瘍の中央部ではマクロファージ、深部ではoligodendrocyte precursor cell が多く含まれるといった採取部位による含有細胞組成の不均一性を確認した。また、Mesenchymal-like、Astrocyte-like、Oligodendrocyte precursor cell-like、Neural precursor cell-likeといった、これまでに報告されている膠芽腫細胞の遺伝子発現パターンについても、採取部位による不均一性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハッシュタグ法およびCITE-seq を併用したシングルセル及びシングル核マルチオームライブラリー作成プロトコールを確立することができた。シングルセルに加えて、既にシングル核マルチオーム、シングルセルロングリードについてもシークエンス解析を進めており、シークエンスデータが届き次第、さらに詳細に腫瘍内不均一性の解析を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
マルチサンプリング可能な症例の手術予定が組まれ次第、サンプル調整およびシークエンスを行っていく。現在の目標として、最終的にシングルセル6例(最大24箇所)、シングル核マルチオーム8例(最大32箇所)のライブラリー作成、シークエンスを行う予定である。また並行して、同採取部位の全エクソーム解析、MRI画像、病理画像の解析も行なっており、シングルセルデータと統合して解析を行なっていく予定である。
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