研究課題/領域番号 |
22K17606
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
野崎 良寛 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (40754560)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 先天性心疾患 / サルコペニア / 肥満 / 活動量 / 座位行動 / 小児 / リハビリテーション / ウェアラブルデバイス |
研究開始時の研究の概要 |
先天性心疾患の生命予後は改善しており、今後は遠隔期QOLがさらに向上し、患者たちがより社会で活躍していくことが望まれる。筋肉量の減少、筋力や身体機能の低下がみられるサルコペニアではQOLが低い。先天性心疾患遠隔期の40歳頃にはサルコペニアの頻度は高いが、学童期青年期についてはまだ知見が少ない。一般に種々のウェアラブルデバイスによる運動習慣の改善が報告されている。本研究において学童期青年期において、体組成や運動習慣などの行動様式、筋肉量・筋量、QOL、運動に関係するMyokineや脂肪細胞に関係するAdipocytokineを検討し、ウェアラブルデバイスを利用がこれらに影響を与えるか検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は先天性心疾患患者の遠隔期における総合的な健康増進を実現することを目標に進めている。 これまで行われている研究は筋量で評価され筋力を評価したものは少なく、学童期先天性心疾患患者の握力測定、下肢進展力などの筋力・運動機能測定、InBodyでの体組成解析、アンケート調査を行い、血液検体収集後マイオカイン測定を行うことにしている。2023年度までで27名のデータを収集することができた。健常者についても2024年度にずれ込んだが、初回募集を予定できている。 これまでに集積された対象の年齢は14.8±1.8歳で、フォンタン手術後患者13名、その他二心室修復患者14名で、この二群のデータを比較する形で提示する。フォンタン術後患者は男性が多い傾向にあり、フォンタン術後患者、二心室修復患者でそれぞれ体脂肪率15.9±6.0%、21.1±9.7%、SMI(四肢筋重量/体表面積) 5.7±0.9kg/m2、5.7±1.0kg/m2であった。文部科学省の新体力ストのデータから握力・立ち幅跳びの計測値を各年齢のZ-score{(計測値-平均値)/標準偏差}はそれぞれ握力-0.8±1.3, -0.8±1.2、立ち幅跳び-1.3±1.4、1.3±1.3とどちらの群でもZ-scoreは-1.0に近く全体的に低い傾向にあった。欧米の報告と比較して低い体脂肪率であったが、SMI値はほぼ同様で、筋力は文部科学省の健常者データよりも低い傾向にあった。体組成計は体重対する筋肉発達率が体幹97%、下肢100%だったのに対し、上肢では90%と上肢が低い値を示した。患者群間では有意差はなかったが今後健常者と比較検討していく。 検討を始めたところで先天性心疾患患者は中高強度の運動をほとんどしていない様子がうかがえ、活動量測定と合わせて検討を進め、十分量の症例数が集まったところでマイオカインをまとめて計測する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度より患者群のリクルートメントを開始していく予定であったが、同時期の新型コロナウィルス感染症の流行時期で、病院の外来ベースで対面形式の研究を実施することが許可されず、被験者に来院してもらって研究を進めることができなかった。まず疾患群からはじめ健常者に拡げる予定としたこともあり、進捗としては遅れている。2023年度からは研究制限が解除されペースを上げリクルートメントを進めている。 また活動量についても、使用予定の装置の急な値上がりがあり研究費内でまかないきれず、代替法を見つけ出し決定するのに時間がかかってしまったが、方法を確保でき2024年度から実施していく。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の実施について、2024年度も制限がない見込みで、2023年度から継続して患者募集が可能な見込みである。しかし、当院での実施のみでは症例数が不足してしまう可能性があり、県内の先天性心疾患診療機関である茨城県立こども病院に共同研究として協力依頼できるよう内諾は得ている。 また、先天性心疾患患者が特に運動を控えめにしている様子が研究情報開示の時点から疑われた。近年、中から高強度の運動を十分に行っていくことともに、過度に安静にしてしまう座位時間の長時間化も、健康維持における問題となっている。 座位行動が多い生活スタイルは運動不足になりがちで、肥満やメタボリックシンドローム、高血圧などのリスクを高め、将来の健康に影響を与えることが問題視されるようになった。5~17歳の青少年において「(1)平均で1日60分の身体活動の実施。(2)1週間に3日は高強度の有酸素運動や筋力や骨を強化するトレーニング。」に加えて「(3) 座位時間は最小限にとどめる」というWHOの身体活動・座位行動ガイドラインの推奨があるが健常者でも遵守率は低い。慢性疾患患者のデータについても検証すべきと考え、SpO2のモニタリングと合わせて実施を計画したが、使用予定システムの値上がりがあり、別システムの検討が必要となってしまった。こちらについてメドがついたため、さらに得られるデータと現在収集し始めたサルコペニアのデータを結合させ、日常の活動や座位行動とサルコペニアについて研究を深めていきたい。
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