配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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研究実績の概要 |
これまでに, 収縮による筋肥大時の際に筋サテライト細胞(SC)を介した筋核の追加が生じないよう遺伝子改変されたマウスでは, 筋肥大が抑制されることが明らかにされてきているが, 本年度はこうした筋肥大時にSCを介した筋核の追加が生じない状態において, 筋線維内のタンパク質代謝並びにミトコンドリアに生じる変化を明らかにするため検討を行った. 実験は野生型マウス並びにSCを除去可能な遺伝子組換えマウス(Pax7-DTA)を対象とし, マウスの片側の後肢の下腿三頭筋のうち腓腹筋とヒラメ筋を外科手術により切除し(対側脚には偽手術を施した), その後8週間通常飼育を行い, 保存された足底筋に対する慢性的な過負荷を行うことで筋肥大を導出した. その結果, 野生型マウスの筋線維横断面積(fCSA)は8週間の過負荷によって有意に増加したが, Pax7-DTAマウスのfCSAには肥大応答が観察されず, SCを介した適応が筋肥大には重要であることが改めて示された. 次に我々はin vivo SUnSET法を用いて筋線維内のタンパク質合成状態を組織化学解析によって評価した. その結果, 筋肥大が生じていないPax7-DTAマウスの足底筋においても過負荷によって野生型マウスと同様に筋タンパク質合成の増加が生じていることが観察された. このことから, Pax7-DTAマウスにおける収縮による筋肥大の抑制はタンパク質合成以外の要因によってもたらされている可能性が示された. さらに, SCの除去が筋肥大時のミトコンドリアに及ぼす影響を評価する為, 蛍光プローブ(Mito-ID)とSDH染色によるミトコンドリア量ならびに活性の観察を行った. その結果, Pax7-DTAマウスの足底筋では過負荷によってSDH染色による呈色が著しく低下し, ミトコンドリア活性が低下している可能性が示された.
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今後の研究の推進方策 |
今後は, 筋サテライト細胞除去マウス以外の筋核の追加を生じない遺伝子組換えマウスにおいても筋肥大時にミトコンドリア活性の低下が観察されるかを検討することで, 筋肥大に伴う核の追加がミトコンドリア活性の調節に関わるかをさらに明らかにする. また, 筋肥大時に新たに追加される筋核に特徴的な遺伝子発現プロファイルについてオミクスを用いた網羅的解析を進める.
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