研究課題/領域番号 |
22K17926
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
蜂須 拓 筑波大学, システム情報系, 助教 (20810170)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 身体接触 / 触覚 / 振動 / 錯覚現象 / 振動伝搬 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,二者間の手指の接触(身体接触)を計測し,実時間で光や振動で感覚を刺激して拡張するブレスレット型デバイスの開発を行っている.これを用いた遊びを提供することで,特に自閉症児の発達や対人交流の支援に応用する. 本研究課題では感覚刺激として振動に着目し手首から指先の任意位置に感覚提示する方法論の確立を目的とする.そのために:1)接触相手に効率よく伝搬する振動刺激を設計するための皮膚の振動伝搬特性の計測;2)振動が刺激されていない部位に感覚を提示するための触錯覚現象の生起条件の解明,に取り組む.本研究成果は身体接触の感覚的拡張における空間的表現の幅を広げ,多様な遊びの創出に寄与する.
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研究実績の概要 |
本年度は2つの研究課題に取り組んだ. 1つ目はブレスレット型デバイスを装着した二者が手指による身体接触中に一方から他方へ効率的に伝搬する振動刺激を設計することを目的とした課題である.まず,手首皮膚に提示する振動刺激を定量的に制御するシステムを構築した.振動子と皮膚の接触力および正弦波振動の加速度振幅を統制した状態で,周波数および振動子の駆動方向(手首皮膚に対して法線または接線方向)を変数とするシステムを構築した.また,84個の加速度センサを手指に固定し,手首から皮膚に伝搬する振動加速度を1000 Hzのサンプリング周波数で計測するシステムを構築した.両システムを用いて,変数に対する手指に伝搬する振動を時空間的に計測した.計測データの一部分において,三次元手指モデルに時空間的な振動加速度の大きさをマッピングした振動伝搬の可視化を実現した. 2つ目はブレスレット型デバイスを装着した二者が手指による身体接触中に,デバイス(振動子)が接触している部位(手首)以外に生起する錯覚的な振動感覚の生起条件の解明を目的とした課題である.個人内における同様の錯覚現象を扱った先行研究を参考に,2つの振動子から出力される加速度振幅の比および周波数に対する知覚される振動位置を検証する実験のシステムの構築および実施を行った.予備実験の結果,振幅比と知覚される振動位置には線形の関係があること,周波数によって線形性が変化することを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2つの研究課題に対して,それぞれ実験の実施まで完了しているため.
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今後の研究の推進方策 |
本年度と同様に2つの研究課題に引き続き取り組む. 1つ目はブレスレット型デバイスを装着した二者が手指による身体接触中に一方から他方へ効率的に伝搬する振動刺激を設計することを目的とした課題である.本年度計測したデータより,変数とした振動の周波数および振動子の駆動方向に対する振動伝搬の時空間特性を可視化することで検証する.また,計測した振動加速度と接触相手が知覚する強度との対応関係を明らかすることで,身体接触中に一方から他方へ効率的に伝搬する振動刺激の設計論を確立する. 2つ目はブレスレット型デバイスを装着した二者が手指による身体接触中に,デバイス(振動子)が接触している部位(手首)以外に生起する錯覚的な振動感覚の生起条件の解明を目的とした課題である.本年度構築した実験システムを用いて,実験参加者を十数名ほど募り実験を実施する.これにより,予備実験の結果(振幅比と知覚される振動位置には線形の関係があること,周波数によって線形性が変化すること)を統計的に示す.
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