研究課題/領域番号 |
22K18193
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
本田 雄士 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (90907742)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | アデノ随伴ウイルス / 薬物送達システム / 自己会合超分子 |
研究開始時の研究の概要 |
ウイルスベクターの一つであるアデノ随伴ウイルス (AAV)は、侵襲性が低く搭載遺伝子の長期発現が可能であることから、難治性疾患治療薬として認可され注目されている。しかし、成人の大半はその中和抗体を持っているため患者が限定されること、大量投与による肝毒性が問題になっており、それらを回避する技術が求められている。本研究では、AAV搭載複合体を開発し、上記課題の解決を図る。具体的には、AAV中和抗体回避能の向上、AAV複合体の挙動の解明、目的箇所への効率的な遺伝子導入を検討する。
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研究実績の概要 |
ウイルスベクターの一つであるアデノ随伴ウイルス (AAV)は、侵襲性が低く搭載遺伝子の長期発現が可能であることから、難治性疾患治療薬として認可され注目されている。しかし、成人の大半はその中和抗体を持っているため患者が限定されること、大量投与による肝毒性が問題になっており、それらを回避する技術が求められている。本研究では、AAV搭載複合体を開発し、上記課題の解決を図る。具体的には、当研究室の独自技術である”混ぜるだけで自己会合する超分子複合体”にAAVを内包させることでAAV中和抗体回避能の向上を測る。その際に、この自己会合複合体を構成する材料の構造を最適化しつつ、AAV複合体の挙動の解明を行う。さらに、動物実験・細胞実験を通して目的箇所への効率的な遺伝子導入を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、①AAVの中和抗体耐性向上、②毒性抑制、③遺伝子導入量の向上を目的として検討を実施した。①のAAVの中和抗体耐性向上に関してはこれまで、ポリフェノールの一つであるタンニン酸とフェニルボロン酸高分子を組み合わせて構築した複合体にAAVを内包して、細胞実験にて中和抗体耐性を評価したところ、耐性が大幅に向上したことが確認された。一方、動物実験においてはまだ有効性を確認出来ておらず現在、フェニルボロン酸高分子の構造最適化と合わせて検討中である。②の毒性抑制であるが、臨床において毒性が確認されている量のAAV単体をマウスに静脈投与したところ、肝臓毒性が確認された。一方、AAVを複合体に搭載し静脈投与したところ、肝臓毒性は確認させず、複合体化することで有意に毒性を抑制できることが確認された。③の遺伝子導入量向上に関しては、複合体に搭載したAAVをマウスに投与したところ、肝臓や腎臓など正常組織に対しての遺伝子導入量は減少した一方、標的部位になりえる脳への遺伝子導入量は維持され、脳への選択性が上がったことが示された。さらに、特定組織への標的指向性を向上させるため、環状ペプチドを搭載したフェニルボロン酸高分子を用いて複合体の形成を行い、機能を評価したところ、環状ペプチドが標的化できる受容体が過剰発現している細胞に対しての遺伝子導入量が大幅に増加したことが示された。これらより、当初の目標を概ね達成しており、順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、動物実験においてAAV搭載複合体が中和抗体耐性を発揮できるようにするため、高分子のさらなる構造改変を行う。また、これまで標的指向性分子を搭載した複合体を用いることで、遺伝子導入量の向上が確認されていることから、AAVに治療用遺伝子を搭載し、その治療効果を検討する。
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