研究課題/領域番号 |
22K18195
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
仲本 正彦 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (30883003)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 刺激応答性ハイドロゲル / 過渡的応答 / 非平衡機能 / 酵素 / 分子認識 / ハイドロゲル / 生体分子応答 / ハイドロゲル酵素複合体 |
研究開始時の研究の概要 |
生命活動の維持に必須である栄養摂取、代謝、排泄プロセスから着想を得て、標的生体高分子に応答した非平衡かつ巨視的な構造・物性変化を生じるハイドロゲルを開発する。具体的にはポリリジンを標的生体高分子として用い、アクリルアミドを母体としたハイドロゲルに対してアクリル酸およびトリプシンを機能性部位として導入することで、ポリリジンに対する親和性、消化機能を有するハイドロゲルを作製し、生体高分子応答性の動的物性変化を生じるハイドロゲルを実現する。
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研究実績の概要 |
刺激応答性ハイドロゲルは多くの点で生体組織との類似性をもつことから、バイオマテリアルとして盛んに研究されている。しかしながら従来の刺激応答性ハイドロゲルおよびその機能のほとんどは平衡論的な機能設計にとどまっており、生体高分子を燃料として非平衡機能を示すハイドロゲルの例はない。本研究では栄養摂取、代謝、そして老廃物排泄により維持される生体から着想を得て、標的生体高分子を燃料として、非平衡かつ巨視的な構造・物性変化を示すハイドロゲル材料を実証し、その設計原理を明らかにすることを研究目的としている。具体的には燃料生体高分子としてカチオン性のポリペプチド(ポリリシン)または酵素(リゾチーム)をモデルとして用い、アクリルアミドまたはPoly-N-(2-Hydroxypropyl)methacrylamideを母体とした高分子ハイドロゲルに対してアニオン性モノマー(アクリル酸またはメタクリル酸)およびタンパク質分解酵素(アクリル化トリプシン)を導入することで燃料親和性および燃料分解性を有するハイドロゲルを作製した。本ハイドロゲルの燃料生体高分子に応答した非平衡体積変動、物質徐放および弾性率変化を実証した。更にハイドロゲル化学組成が過渡的応答に及ぼす影響を網羅的に解析することで、生体高分子を燃料として非平衡機能を示すハイドロゲルの設計指針を明らかにした。生体高分子に応答したハイドロゲルの非平衡機能を実現する本研究課題は、生命現象を自在に制御する『生き物のようにダイナミックにはたらく刺激応答性ハイドロゲル』開発にむけた可能性をもつ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アクリルアミド、アクリル酸、N,N’-メチレンビスアクリルアミドおよびアクリル化トリプシンからなるハイドロゲルを作製した。カチオン性を有するポリリシンを燃料生体高分子として、燃料添加に伴うハイドロゲルの過渡的体積変動および過渡的体積変動を駆動力とした担持物質の徐放を実証した。次に、バイオマテリアルとしての応用を志向して、母体となるポリマーを生体適合性の高いPoly-N-(2-Hydroxypropyl)methacrylamideに変更し、カチオン性酵素であるリゾチームを燃料として非平衡機能を示すハイドロゲルの設計へと研究を展開した。当該ハイドロゲルはリゾチームを燃料とした過渡的体積変動および過渡的体積変動に伴う一時的な弾性率の上昇を生じることが明らかとなった。更にハイドロゲルに導入する機能性モノマーの導入量が過渡的応答に及ぼす影響を網羅的に解析することで、生体高分子を燃料として非平衡機能を示すハイドロゲルの設計指針を一般化した。以上のように、汎用性のハイドロゲルを材料基盤として、生体高分子を燃料として非平衡条件下で過渡的な応答および機能を示すハイドロゲルの開発を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
研究を進める上で、ハイドロゲルの過渡的応答は数十時間スケールの遅いプロセスであることが明らかとなった。これは本材料を薬剤徐放材料、細胞培養足場材料およびアクチュエータとして応用するに際して大きな問題となる。そこで、次年度はマイクロまたはナノスケールまで材料のサイズダウンを図ることで燃料に対して迅速に応答するマイクロ・ナノハイドロゲルの開発を試みる。加えて、マイクロ・ナノハイドロゲルをビルディングブロックとして積層することで、迅速な応答速度を維持したバルクマテリアルの構築も試みる。 またハイドロゲルの過渡的応答は燃料の繰り返しの添加によって徐々に減衰することも明らかとなった。これはゲル内に導入したトリプシンの変性もしくは自己分解に起因すると考えられる。そこで次年度はPEG部位の導入などによりトリプシンを修飾することで、ゲル内トリプシンの安定性向上を試みる。併せて、トリプシンに対するアクリレート官能基の導入量の最適化も行う予定である。以上によりハイドロゲルの過渡的応答の繰り返し性能の向上を目指す。
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