研究課題/領域番号 |
22K18807
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宇佐美 徳隆 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20262107)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 雨滴発電 / 太陽電池 / 表面界面制御 / ナノ構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、脱炭素社会の早期実現に向け、さらなる大規模導入が期待される太陽光発電と、地球に豊富に存在する水や雨からエネルギーを高効率に収集する雨滴発電デバイスを融合することを目指す。摩擦帯電膜のナノ構造化や表面・界面の化学状態制御により雨滴発電デバイスの高効率化指針を明確化するとともに、雨滴発電デバイスを実装した雨天時にも発電する太陽光発電モジュールの実現に挑戦する。
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研究実績の概要 |
本研究では、水滴が樹脂表面に接触し摩擦帯電する現象と、帯電した水滴が金属電極に接触した際の放電を利用した発電機を研究対象として、表面・界面の制御など高効率化のための要素技術開発を進めている。対象とする発電機は、透明導電性酸化膜を堆積させたガラス基板上へ、摩擦帯電膜と表面電極を製膜したものを基本構造とする。透明導電膜と表面電極には、いずれも高周波マグネトロンスパッタリング法により作製するスズドープ酸化インジウム薄膜を用いた。摩擦帯電膜としては、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)フィルムを用いた。FEPフィルムは、水滴と接触することで摩擦電力を発生し、負電荷を蓄える材料として機能する。本年度は、水滴による発電性能の評価システムとして、定量の水を滴下した際に、表面の動画撮影と、電流および電圧測定が可能なシステムを構築した。発電性能向上に向けては、摩擦帯電膜の誘電率、表面電荷密度、摩擦帯電膜の膜厚、水滴の濡れ性(接触面積や表面滞留に関係)等を適切に制御することが要請される。そこで、下部電極とFEPフィルムの間へのエレクトレット材料の挿入、エレクトレット材料への電荷注入、ガラス基板表面のパターニングなどを着想し、その効果を検討した。エレクトレット材料としては、市販されている非晶質フッ素樹脂を用いた。その結果、エレクトレット材料による帯電電荷の増加と摩擦帯電膜の表面積増加により、標準試料と比較して高い発電性能が得られることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、雨滴発電ガラスの性能評価システムを構築し、また高性能化メカニズムについての考察に基づき、いくつかのモデルデバイスを作製して性能評価を行うことで、高性能化に寄与する複数の要素技術についての知見を得ることができた。よっておおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、電極形状の改善など、未実施の要素についての調査を行うとともに、半導体ナノ構造形成プロセスを援用するなどして、各要素技術の改善を行う。さらに、太陽電池モジュールのカバーガラスに雨滴発電ガラスを用いた実証実験についても実施予定である。
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