研究課題/領域番号 |
22K18925
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岸田 昌浩 九州大学, 工学研究院, 教授 (60243903)
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研究分担者 |
山本 剛 九州大学, 工学研究院, 准教授 (20321979)
大島 一真 九州大学, 工学研究院, 助教 (60734275)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 非平衡プラズマ / 非定常触媒反応 / 二酸化炭素 / 水 / メタン |
研究開始時の研究の概要 |
非平衡プラズマ中で二酸化炭素と水を反応させると,一酸化炭素,酸素,水素が生成するが,その生成ガスに何らかのエネルギーを加えると元に戻ってしまう.このため二酸化炭素の有効利用に非平衡プラズマを利用できないでいた.本研究では,プラズマ反応ガスからメタン生成に必要な成分(一酸化炭素と水素)を,触媒上に吸着・貯蔵し,触媒を非定常的に加熱することで,メタンを生成させるという独自手法を提案する.非平衡プラズマと非定常触媒反応を協奏的に利用して,二酸化炭素と水という最終生成物からメタンを生成するという非常に挑戦的な研究である.二酸化炭素の有効利用の新たな突破口を開くという意味でも,研究遂行の意義は大きい.
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研究実績の概要 |
本年度は,プラズマ反応部と触媒反応部の2つの反応部を,それぞれ独立に検討を進めた. プラズマ反応部では,マイクロ波を用いて発生させた非平衡プラズマにより,CO2とH2OからCO,O2,H2が得られることを確認した.しかし,マイクロ波発生装置の故障により,この部分の検討は予定よりも遅れた. 触媒反応部の検討では,まずPtとPdそれぞれの吸脱着特性を評価するために,各材料にCOを吸着させた後,H2気流中で昇温しながらの反応試験を行った.PdへのCO吸着は微量かつ弱かったため,COの脱離は低温で観測された.一方,PtはCOとの親和性が強いために,Pdの場合よりも高温でCOが脱離した.このときの反応生成物としては,いずれの金属材料でもメタンの生成を確認することができた.すなわち,H2気流中の非定常反応によって吸着CO由来のメタンが生成することが明らかとなった.次に,PtとPdの相互配置の効果を調べた.ナノスケールでPtとPdを隣接させた材料を用いた場合,メタンの生成温度が単独金属の場合よりも低温化されることがわかった.これは,水素吸蔵を担うPdがPtに隣接することによって水素供給源が増加し,メタン生成が促進されたためと考えられる.また,さらなるメタン生成量の向上を狙い,CO吸着が強くメタン化性能も高いRuについても同様の実験を行った.しかし,Ruを用いた場合にはメタンの生成が確認されなかった.このように金属種の検討を行うことで,本反応系に用いる金属材料にはCO吸着能よりもH2吸蔵能の方が重要であり,H2吸蔵能の高いPd をベースとした金属材料が非定常メタン生成に有効であることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プラズマ装置の故障があったため,プラズマ反応部の検討が遅れているが,触媒反応部の検討を重点的に進めることができた.したがって,研究全体としてはおおむね順調な進捗と言える.
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今後の研究の推進方策 |
プラズマ反応部の検討では,供給ガス中のCO2/H2O比を変化させた反応実験を行い,後段の触媒反応に有利となるプラズマ反応条件を探索する. 触媒反応部に関しては,これまで生成物分析を間欠的に行っていたため,昇温速度をあまり速くできないという課題があった.しかし,昨年度の検討により,メタンが生成する温度域が明らかになったため,今後は昇温速度の検討範囲を拡張して,より効率よくメタンが生成する条件を探索する.また,Pdとの共存に有効な金属材料の探索も進め,CO吸着に優れた金属材料を検討していく.その際に金属の組成比や調製順なども併せて検討する. 最終的には,2つの反応装置を連結することで,CO2とH2Oからのメタン生成の実証について検討する.
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