研究課題/領域番号 |
22K19045
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分34:無機・錯体化学、分析化学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山田 泰之 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 准教授 (10385552)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | メタン / 酸化触媒 / cPCET / オキソ種 / 超分子触媒 / ポルフィリン / フタロシアニン / ロタキサン / cPCET活性種 / ポルフィリノイド |
研究開始時の研究の概要 |
応募者らは最近、4重ロタキサン結合により連結されたポルフィリンとフタロシアニンのface-to-face会合体内に構築した窒素架橋鉄二核錯体とテトラアニオン性ポルフィリンとのイオン性会合体 T が過剰量のH2O2を含む100°C以下の酸性水溶液中、メタンを触媒的にメタノール、ホルムアルデヒド、ギ酸へと変換可能であり、数あるメタン酸化分子触媒の中でも最高クラスの触媒活性を示すことを見出した。 本研究ではTの超分子骨格を利用しつつ、Tの中心金属および架橋配位子を変化させた新奇な構造を持つ超分子型cPCET活性種を構築して、高活性なメタン資源化反応活性種を探索する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、我々が最近合成に成功した超分子型高反応性cPCET活性種の構造をベースにして、新奇な構造を持つ高反応性cPCET活性種を創製し、メタン資源化に資する触媒反応を開発することである。我々が合成した超分子型高反応性cPCET活性種の基本的な構造は、4重のロタキサン構造で連結されたポルフィリンーフタロシアニンface-to-faceヘテロ二量体内に構築した窒素架橋鉄フタロシアニン二量体オキソ種(超分子型オキソ種)である。 本年度は、触媒の原料となる4重ロタキサン型ポルフィリンーフタロシアニンface-to-faceヘテロ二量体および、その金属錯体の合成を進めた。これまでに合成が完了して、メタン酸化触媒活性やイオン性会合体形成によるスタッキング構造の拡張を試すための準備が整った錯体は窒素架橋鉄二核錯体および酸素架橋鉄二核錯体である。 さらに、超分子型オキソ種の高反応性の由来を解明すべく、ロタキサン構造を持たない窒素架橋鉄フタロシアニンー鉄ポルフィリンヘテロ二量体を合成し、過酸化水素を過剰量含む酸性水溶液中において、そのオキソ種を生成させて、メタン酸化触媒反応活性を評価した。その結果、窒素架橋鉄ポルフィリンー鉄フタロシアニンヘテロ二量体の触媒活性は、類似の構造を持つ窒素架橋鉄フタロシアニンホモ二量体と比較すると明確に低いことが明らかになった。この知見は、ポルフィリノイド環の種類によってメタン酸化触媒活性が大きく変化することを示しており、今後、超分子型高反応性cPCET活性種の開発を進める上でも有用であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にものべたとおり、本年度は、超分子型高反応性cPCET活性種構築の基本骨格となる、4重ロタキサン構造により連結されたポルフィリンーフタロシアニンface-to-faceヘテロ二量体およびその金属錯体の合成を進めた。金属錯体としては、窒素架橋鉄二核錯体および酸素架橋鉄二核錯体の合成が完了している状況である。 さらに、現有の超分子型高反応性cPCET活性種(4重ロタキサン型ポルフィリンーフタロシアニンface-to-faceヘテロ二量体内に構築した窒素架橋鉄二核錯体オキソ種)が高いメタン酸化触媒活性を持つ原因を探索すべく、よりシンプルな構造を持つモデル錯体(側鎖ロタキサン構造をもたない窒素架橋鉄ポルフィリンー鉄フタロシアニンヘテロ二量体)を合成し、そのメタン酸化触媒活性を評価した結果、窒素架橋鉄ポルフィリンー鉄フタロシアニンヘテロ二量体オキソ種のメタン酸化活性は類似の構造を持つ窒素架橋鉄フタロシアニンホモ二量体オキソ種よりも低いことが分かった。 本研究は触媒骨格の合成に労力と時間を必要とすること、およびモデル錯体を用いた新たな知見を得たことを考えると、現在までのところ合成は概ね順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本年も引き続き4重ロタキサン構造により連結されたポルフィリンーフタロシアニンface-to-faceヘテロ二量体およびその金属錯体の合成を進めるとともに、すでに合成した窒素架橋鉄二核錯体に関しては、イオン性会合体形成を利用したスタッキング構造の拡張を進めていく。さらに、酸素架橋鉄二核錯体に関しては、いままでにメタン酸化触媒活性を評価していないため、この活性評価も進めるとともに、イオン性会合体形成反応による触媒活性の変化を評価する予定である。合成に成功した新奇な超分子錯体については、順次メタン酸化触媒活性の評価を行っていく。 さらに、前年度モデル錯体の研究で得られた知見を活用すべく、4重ロタキサン構造で連結された窒素架橋鉄フタロシアニンホモ二量体の構築についても、可能かどうかの検討を始めることとする。
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