研究課題/領域番号 |
22K19117
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
叶 直樹 星薬科大学, 薬学部, 教授 (40317293)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | タンパク質分解誘導薬 / PROTAC / 作用機序 / プローブ分子 / 標的タンパク質分解誘導薬 / 作用機序解析 / 細胞内挙動解析 |
研究開始時の研究の概要 |
特定の細胞内タンパク質を選択的に分解できるPROTACの作用機序は、ユビキチン-プロテアソーム系が基質タンパク質を分解する機構で説明されてきた。一方、ごく最近、PROTACが誘導する標的タンパク質の分解には、PROTACに特有の機構があることが分かってきた。これらを詳細に理解すれば、PROTACの設計基盤が革新されるだけでなく、ユビキチン-プロテアソーム系の可塑性の理解など、幅広い波及効果が期待できる。そこで本研究課題では、独自に設計した分子プローブ群を合成し、これらを駆使することで、PROTAC特有の作用機序の探索と、PROTACが介する複合体の動態解析に挑戦する。
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研究実績の概要 |
タンパク質分解誘導薬の作用機序は、ユビキチン-プロテアソーム系が細胞内タンパク質(生理的基質)を分解する機構に則ったモデルで説明されてきた。一方、ごく最近になって、PROTAC が誘導する標的タンパク質分解は、ユビキチン-プロテアソーム系が生理的基質を分解する過程とは異なる過程を含むことが分かってきた。そこで、本研究では、独自に設計した分子プローブ群を創製し、これらを用いてタンパク質分解誘導薬特有のタンパク質分解誘導機構や細胞内での重要因子の挙動を探索・解明することを目的とした。 我々は最近、標的タンパク質(Brd4タンパク質)とE3リガーゼ複合体の基質認識部位(VHLタンパク質)との三者複合体の解析が進んでいるBrd4 タンパク質分解誘導剤 MZ-1を基盤として、Brd4タンパク質分解誘導活性を保持しながら機能性官能基の追加が可能な PROTAC テンプレートを報告した(Bioconjugate Chem. 2022, 33, 142)。更に、これらのPROTAC テンプレートを用いて、蛍光プローブや、近接駆動型標識基を備えたTurn-ON型蛍光プローブ、ビオチン化プローブの創製を実施した。 PROTACテンプレートの大量供給法を確立した後、これまでに20種類を超える誘導体を合成し、そのBrd4分解誘導活性を評価した。合成した蛍光プローブについては、培養がん細胞に添加し、その細胞内動態を観察した。 以上、上記目的、すなわち、タンパク質分解誘導薬特有のタンパク質分解誘導機構を探索・解明できるプローブ分子の創製と評価を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間開始時までに、Brd4タンパク質分解誘導剤MZ-1を基盤として設計した4種のPROTACテンプレート化合物を合成した。このうち3種のテンプレート化合物に高い活性が認められたため、まずはこれらの大量合成を検討した。合成手法は大きく変えずに、反応条件や後処理条件等を精査することで、グラム単位でPROTACテンプレート合成中間体の簡便な合成が可能となった。次に、鎖長の異なるリンカー分子を介して、蛍光色素化合物などを導入することで、20種類を超える誘導体やプローブ分子を合成した。これらのBrd4分解誘導活性を評価したところ、幾つかの化合物においては予想しない活性低下が認められた。しかし、合成した化合物を利用して様々な知見が蓄積できたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今回合成した各種誘導体やプローブ分子の評価によって、これまでの細胞内活性を考慮した評価以外に、溶解性や細胞膜透過性に関する評価も同時に行わなければならないことが確認された。既にこれらの評価を実施する準備はできている。今後、プローブの合成に加えて、これらの評価も含めて検討し、より良いプローブの取得を行う。一方、既に得られているプローブ分子を用いても評価・解析を進める予定である。
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