研究課題/領域番号 |
22K19348
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
池田 譲 琉球大学, 理学部, 教授 (30342744)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | タコ / 社会性 / 脳 / 琉球列島 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は非社会性とされるタコについて、琉球列島沿岸のタコが高密度で分布し相互交渉するオクトポリス(タコ都市)を調査地に、そこに棲む固有種のソデフリダコの社会性の実態を検証する。そのため、20種近くのタコが分布する琉球列島に焦点を当て、広大なオクトポリスを調査地にタコを個体識別して観察し、個体間相互交渉を綿密に解き明かして社会の実態をソーシャルネットワークグラフに描き出す。さらに、社会性発現に関わる脳領域を複数種のタコで比較する。また、薬理行動学的観察を行いタコの社会性に関わる神経基盤を特定する。
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研究実績の概要 |
本研究は、琉球列島沿岸に形成されているタコ類の高密度分布域「オクトポリス」について、その実態とそこに暮らすタコ類の動態を社会性の観点から探ることを目的としている。今年度は、1)オクトポリスにおけるソデフリダコの個体間相互交渉の野外検証、および2)社会性に関わる脳領域の比較解剖学的検証を実施した。項目1)では、沖縄本島沿岸の岩礁帯を経時的に野外調査した。その結果、ソデフリダコは1回の調査あたり3個体から30個体観察された。また、個体識別標識付けした計14個体のうち、標識装着13日後に放流地から約10m離れた場所で1個体が確認された。さらに、3日間連続して同じ巣内にいた個体や2週間後も同じ巣にいた個体を確認した。また、隣接した巣や、巣外での接触・伸腕行動など相互交渉、他種タコ類への接近や接触など種間相互交渉も観察された。このように、本種の野外での個体間相互作用を明らかにできた。項目2)では、ソデフリダコの脳をmicro-CTで観察した。CT画像から、視覚学習、記憶に関係する領域である垂直葉(vtL)、上前葉(sfL)、腕から得られた情報の処理に関わる下前葉系(INFF)を特定した。本種ではvtL, sfLという視覚学習に深く関わる脳葉の容積が大きく、触覚に関わるINFFの容積が小さかった。また、形態的な特徴として、vtL後端の発達が確認された。さらに、これらの結果を他種のタコ類と比較したところ、ソデフリダコの脳は単独性と考えられるタコ類と独立した脳の形質を示した。これは、群れを作る社会性のツツイカ類に近い脳形態であった。これらの脳形態の特徴は、ソデフリダコに見られる社会性や生態に大きく関わっていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
長期にわたる野外観察を実施し、本研究の主対象であるソデフリダコのオクトポリスにおける実態を精査することができた。また、本種の脳について、micro-CT観察から社会性に関わる形態的特性を明らかにすることができた。これらはタコ類では新しい発見であり、特に野外調査の方法を確立できたことは今後の研究に大きな進展をもたらすことが期待できるため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、沖縄本島沿岸のオクトポリスでの野外調査を実施し、ソデフリダコの個体間相互作用をより詳細に探査していく。また、社会行動に対する脳神経系の寄与を探るため薬理学的な行動実験を実施し、ソデフリダコの社会性を多角的に検証していく。
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