研究課題/領域番号 |
22K19425
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
金山 剛士 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (80811223)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 感染 / 造血 / サイトカイン / IL-10 / 炎症 / B細胞 / 自然免疫 / 感染症 |
研究開始時の研究の概要 |
IL-10は代表的な抑制性(抗炎症性)サイトカインとして知られており、免疫系においては 炎症性サイトカインに拮抗する分子として過剰な炎症の抑制や恒常性の維持に寄与してい る。しかしながら造血、特に感染症などの生体ストレスによって誘導される造血応答に及ぼすIL-10の機能はよく理解されていない。本研究ではストレス誘導性の造血応答におけるIL-10の病態生理学的な役割をを生体内で検証することを目的とする。
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研究成果の概要 |
自然免疫細胞は感染症初期の病原体排除に不可欠な役割を担っている。そのため、全身的な感染症では、病原体を排除するために自然免疫細胞が優先的に産生される。これをEmergency myelopoiesis(EM)と呼ぶ。本研究では、本来炎症抑制的なサイトカインであるIL-10を、感染症においてEMを促進する新たな因子として同定した。感染直後の骨髄では、B細胞がIL-10の主要な産生源として機能しており、これが造血前駆細胞の生存や自然免疫細胞分化を促進することで、EMを更新することを見出した。実際、B細胞がIL-10を産生できないマウスでは自然免疫細胞の供給や病原体の排除が低下することが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、これまで炎症抑制的なサイトカインとして知られていたIL-10が、造血系においては自然免疫細胞の産生増強を介して炎症促進的に働くことを見出した。これはIL-10の機能における新たな知見を与えるものである。IL-10やその産生細胞を用いた免疫抑制療法の開発は世界中で進められているが、本研究の成果はIL-10を用いた治療法の使用するタイミングや疾患を慎重に選択する必要があることを示唆している。また、本研究の成果は比較的新しいシステムである獲得免疫が、自然免疫細胞の産生機構と協調的な進化を遂げてきたことを示しており、生命の進化を考察する上でも非常に興味深いものである。
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