研究課題/領域番号 |
22K19456
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 正宏 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (10342990)
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研究分担者 |
小沼 邦重 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (90597890)
青木 正博 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 副所長兼分野長 (60362464)
近藤 純平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (80624593)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 大腸癌 / オルガノイド / 免疫回避 / 極性 / micropapillary / 治療戦略 / 細胞塊 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、分化型腺がん細胞塊は、周囲の環境によって極性を転換することを明らかにした。本申請では、がん細胞塊のapical面と免疫細胞との共培養で、免疫細胞の活性化状態およびがん細胞塊の細胞傷害性を検討する。膜表面の免疫制御分子、分泌される活性酸素種(ROS)、粘液成分の防御壁としての役割を検討する。さらに、マウス大腸がん転移モデルの腫瘍から調製したオルガノイドを同系マウスに移植し、極性転換を抑制したものとの免疫応答の差異を検討する。
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研究成果の概要 |
大腸正常上皮は一定の向きに並んだ(極性)細胞からできており、外部と接した面はapical面と呼ばれる。大腸がんオルガノイドを用いて、apical面ががん細胞集団の内側にできる場合(apical-in)と比べて、細胞塊外周にできる場合(apical-out)は、免疫から逃れる能力が高いことを明らかにした。また、がん細胞が細胞外基質に囲まれているにも関わらずapical-outを維持する病態において、apical面を消失させることで抗がん剤感受性を上げることができた。以上より、極性状態を標的とすることは治療戦略になりえる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
免疫チェックポイント阻害薬は一部の症例に劇的な効果を示し、免疫療法は新たながん治療法として確立された。しかし、免疫チェックポイント阻害薬の奏効率は決して高くないことも事実であり、未だ解明されていないがんが免疫から逃れるメカニズムが存在すると考えた。細胞極性と免疫応答についてはこれまでに報告が皆無であり、本研究では、細胞極性と免疫応答の関係を明らかにした。今後、apical-outの極性を標的とした治療法を始めとした、新たながん研究および治療戦略に発展することが期待される。
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