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核膜を場にした脂質代謝機構による核内脂性環境の調節機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K19499
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分52:内科学一般およびその関連分野
研究機関国立研究開発法人国立循環器病研究センター

研究代表者

森 雅樹  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (10602625)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワード脂質代謝 / 自閉症 / リン脂質 / 発達障害 / メタボローム解析
研究開始時の研究の概要

自閉症を含む発達障害の発症につながる分子メカニズムには不明な点が多い。私たちの研究グループは、発達期の臓器に際立って豊富に発現する遺伝子として「若年性遺伝子 (juvenility-associated genes, JAG)」を同定した。JAGの中には機能未知なものがたくさん含まれたが、本研究で着眼する遺伝子は脂質の代謝に関わることが発見された。さらに同遺伝子の変異が発達障害の発症に関連することが示唆された。本研究では同遺伝子の分子機能を詳細に明らかにするとともに発達障害の発症につながるメカニズムを解明し、新規の治療戦略を確立することを目的とする。

研究実績の概要

新たな脂質制御機構として特定した分子群を指標にイメージング解析を実施し、細胞内での分子輸送について解析した。脂質は中性脂質や脂肪酸をそれぞれ特異的に染色するBodipy色素やフォスファチジルコリンを染色する蛍光色素を用いた。その結果、グルコース欠乏や糖代謝経路阻害に際して特定された分子のすみやかな細胞内移行が惹起されることがわかった。プロテオミクスを使い、特定分子が物理的相互作用を行う標的分子をそれぞれの条件において網羅探索した。その結果として得られた物理的相互作用する候補分子のなかからタンパク質免疫沈降法を通じて個々に検証を行った。検証が得られた分子の1つは脂質の代謝酵素として活性を有するものであり、この酵素分子を対象とした機能阻害実験を行うことにより、新たな脂質代謝分子機構としての役割を解明する段階に進んだ。核内脂肪滴についてはSeipin/Bscl2などの分子がその産生に関わることが知られているが、生成機構の全貌は明らかにされていない。Seipin/Bscl2分子に非依存的に生成される核内脂肪滴の生成機構として、グルコース欠乏やリン脂質代謝酵素が関与する現象を同定した。本現象に伴って生じる変化は、細胞分裂の途絶であり、検証している分子機構が細胞周期制御と密接な関係をもつことが示唆された。このように核膜によって閉じられた核内空間は独自の相を形成しており、その内部では脂質代謝を含む鋭敏な反応応答が見られる。また核内の脂性環境は細胞周期制御と密接に関わっていることが示唆され、分裂期に消失・再構成する核膜によってどのように脂質環境が形成されるのかを明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定の実験計画は遂行できており、結果の解釈にもとづくさらなる展開に結び付けられている。今後、動物モデル解析系に進行するとともに、論文発表につなげる。

今後の研究の推進方策

検証を行っている分子をコードする遺伝子変異は小児の発達異常と関連するものであり、この分子が媒介する生体機能がどのようにして小児発達と関連するのか、主に神経機能調節や脳形態形成に着眼して解析を行う。本解析を進めることで、小児の成長発達と本分子との関連を明らかにする。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Bex1 is essential for ciliogenesis and harbours biomolecular condensate-forming capacity2022

    • 著者名/発表者名
      Hibino Emi、Ichiyama Yusuke、Tsukamura Atsushi、Senju Yosuke、Morimune Takao、Ohji Masahito、Maruo Yoshihiro、Nishimura Masaki、Mori Masaki
    • 雑誌名

      BMC Biology

      巻: 20 号: 1 ページ: 1-21

    • DOI

      10.1186/s12915-022-01246-x

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 核膜を作用標的とした若年性遺伝子の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      東 香織、塚村 篤史、森 雅樹
    • 学会等名
      第10回 細胞競合コロキウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 若年性研究から見えてきた細胞の若年期ステータス2023

    • 著者名/発表者名
      森 雅樹
    • 学会等名
      2023年度日本心血管内分泌代謝学会オンライン研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 若年性に着眼した循環器難病の新たな再生医療戦略への取り組み2022

    • 著者名/発表者名
      森 雅樹
    • 学会等名
      第58回日本小児循環器学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 若年性遺伝子BEX1は一次繊毛の形成に必須な天然変性タンパク質をコードする2022

    • 著者名/発表者名
      森 雅樹
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第67回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] SRSF7は年齢依存的スプライシングを通じて若年性トランスクリプトームを形成する2022

    • 著者名/発表者名
      森 雅樹
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第67回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 若年性生物学を通した小児循環器難病の治療戦略探索2022

    • 著者名/発表者名
      森 雅樹
    • 学会等名
      第58回日本小児循環器学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 若年性生物学の取り組みによる小児循環器難病に対する新規治療戦略の確立を目指して2022

    • 著者名/発表者名
      塚村 篤史、森 雅樹
    • 学会等名
      第58回日本小児循環器学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] BEX1, a juvenility-associated gene, is essential for ciliogenesis.2022

    • 著者名/発表者名
      森 雅樹
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2022-07-05   更新日: 2024-12-25  

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