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2022 年度 実施状況報告書

核膜を場にした脂質代謝機構による核内脂性環境の調節機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K19499
研究機関国立研究開発法人国立循環器病研究センター

研究代表者

森 雅樹  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (10602625)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワード自閉症 / 脂質代謝 / リン脂質 / 発達障害 / メタボローム解析
研究実績の概要

脂質は生体に必須な分子種であり、数々の生体機能をもつが、分子構造が極めて多様であり、生理機能は未知な点が多い。本研究では、小児生理学の理解を深めることを目的として、小児期に高発現する遺伝子群「若年性遺伝子 (juvenility-associated genes, JAGs)」に着眼し、JAGの機能の1つが脂質分子の調節にあることを明らかにした。特定した脂質調節分子は、発達期の大脳皮質に高発現しており、神経組織の成熟において重要なはたらきをもつことが示唆された。
発達障害は、発達期において異常が顕在化するが、その病態形成機構には不明な点が多い。本研究では神経発達を検討するための行動解析を実施し、さらにsingle cell RNA-seqを含めた新しいオミクス技術を適用し、動物モデルにおける異常を多角的に検討した。
動物モデルや神経細胞の初代培養系を用いて機能解析を行い、顕著な進展が得られたため論文執筆の準備を進めた。核内の脂性環境は、Seipin/BSCL2やLipinなどの分子による調節機構が近年になり報告されており、生理的に重要な役割を担っていることが判明している。これらの分子群は脂質の存在量に応じて細胞質から核内に移行し、遺伝子の転写を調節することで細胞内の脂質代謝を制御することが知られている。本研究でも新規の役割を特定し、ヒトの神経発達を調節する機構について解析を進め、疾患の治療標的となる可能性について検討を行った。

現在までの達成度
現在までの達成度

1: 当初の計画以上に進展している

理由

新規分子の機能解明を進め、論文執筆を進めるに足る知見を得た。一塩基置換をもつマウスの系統樹立も完遂し、病態モデル解析を完了した。ヒトでの疾患の原因となる分子機構についても有力な可能性を浮き彫りにするに至っており、研究計画としては予想を上回る進展が得られていると考えている。

今後の研究の推進方策

本研究で明らかにしている分子メカニズムはヒト疾患の原因となることが示唆されており、同時に治療標的としての可能性をもつ。マウスモデルも樹立済みであるため、分子標的治療による疾患治療の技術開発を進め、小児難病の新規の治療法確立につなげる。

次年度使用額が生じた理由

研究計画はすべて実施したうえで、試薬の有効活用により想定より抑制された出費となり、28,362円の次年度使用額が生じました。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Bex1 is essential for ciliogenesis and harbours biomolecular condensate-forming capacity2022

    • 著者名/発表者名
      Hibino Emi、Ichiyama Yusuke、Tsukamura Atsushi、Senju Yosuke、Morimune Takao、Ohji Masahito、Maruo Yoshihiro、Nishimura Masaki、Mori Masaki
    • 雑誌名

      BMC Biology

      巻: 20 ページ: 1-21

    • DOI

      10.1186/s12915-022-01246-x

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 若年性研究から見えてきた細胞の若年期ステータス2023

    • 著者名/発表者名
      森 雅樹
    • 学会等名
      2023年度日本心血管内分泌代謝学会オンライン研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 若年性に着眼した循環器難病の新たな再生医療戦略への取り組み2022

    • 著者名/発表者名
      森 雅樹
    • 学会等名
      第58回日本小児循環器学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 若年性遺伝子BEX1は一次繊毛の形成に必須な天然変性タンパク質をコードする2022

    • 著者名/発表者名
      森 雅樹
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第67回大会
  • [学会発表] SRSF7は年齢依存的スプライシングを通じて若年性トランスクリプトームを形成する2022

    • 著者名/発表者名
      森 雅樹
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第67回大会
  • [学会発表] 若年性生物学を通した小児循環器難病の治療戦略探索2022

    • 著者名/発表者名
      森 雅樹
    • 学会等名
      第58回日本小児循環器学会学術集会
  • [学会発表] 若年性生物学の取り組みによる小児循環器難病に対する新規治療戦略の確立を目指して2022

    • 著者名/発表者名
      塚村 篤史、森 雅樹
    • 学会等名
      第58回日本小児循環器学会学術集会
  • [学会発表] BEX1, a juvenility-associated gene, is essential for ciliogenesis.2022

    • 著者名/発表者名
      森 雅樹
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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