研究課題/領域番号 |
22K19671
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川崎 良 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70301067)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 高血圧 / 深層学習 / 眼底写真 / 網膜血管 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、『高血圧の結果と考えられてきた網膜血管径変化が、非高血圧者でも認められる』という予想外の結果に着想を得て、『眼底画像から高血圧の有無や血圧値、また、血圧値の変化を推定する』挑戦的研究である。眼底画像をもとにして、現在の血圧値、高血圧の有病、高血圧の発症、血圧値の変化といった高血圧に関連するアウトカムを推定する深層学習モデルを作成し、高血圧の予防、治療評価、予後予測に応用できるか検証・評価する。簡便かつ非侵襲的に繰り返し得ることは、健診受診の動機づけ、ハイリスク者絞り込み等これまでにないアプローチで寄与できる。また、治療に伴う生体影響の指標として治療評価法への応用の可能性もある。
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研究実績の概要 |
本研究は、過去に申請者が一般住民コホート研究において『高血圧の結果と考えられてきた網膜血管径変化が、非高血圧者でも認められる』という予想外の結果を得たこと、それが複数のコホート研究でも確認できたことに着想を得たもので、『眼底画像から高血圧の有無や血圧値、また、血圧値の変化を推定することができるか?』について明らかにしようとする挑戦的研究である。眼底画像の特定の所見はこれまでも高血圧の有病との関連、血圧値との関連などが報告されているが、今回は、画像を入力して現在の血圧値、高血圧の有病、高血圧の発症、血圧値の変化といった高血圧に関連するアウトカムを推定する深層学習モデルを作成する。さらに、高血圧の予防、治療評価、予後予測に応用できるか検証・評価する。具体的には、観察時の画像と臨床情報を入力とし、その後の高血圧関連アウトカムの推定を行うこと、また逆に高血圧の治療に伴い血圧値が変化したことを眼底画像から推定できるか、といった逆転の発想を人工知能モデルによって表現し、その臨床的意義を評価する。この研究により眼底検査という簡便かつ非侵襲的に繰り返し測定できる検査で、高血圧関連の様々な分類、予測に関するタスクを行うことができれば、健診受診の動機づけ、ハイリスク者絞り込み等これまでにないアプローチで寄与できる。また、治療に伴う生体影響の指標として治療評価法への応用の可能性もある。今年度は、眼底画像と血圧関連アウトカムを保有する大規模疫学研究を用いて、「眼底画像から高血圧の有無や血圧値 、それらの変化を推定する」深層学習モデル群を作成した。仮説1「眼底画像には現在の血圧値の影響が表れており、高血圧の有病、現在の血圧値を推定できる。」については概ね予想通りの結果が得られており、横断研究で眼底写真を入力として、現在の収縮期血圧値、拡張期血圧値を推定する深層学習モデルを作成し、精度を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交渉していた眼底写真と健診情報のデータセット提供施設が、方針の変更によりデータ提供ができないこととなり、別施設や別研究のデータ利用に切り替え準備を進めているため、想定より若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は仮説2「眼底画像には高血圧の発症に先立つ微細な特徴が表れており、将来の血圧値や高血圧の発症を推定できる。」について検証する。縦断研究で各コホートでの研究期間に応じて3年・5年・10年累積での血圧値の差を教師データとして深層学習モデルを作成し検証する予定である。また、仮説3「眼底画像には二時点での血圧値の変化に伴う影響が表れており、血圧値の変化を評価・推定できる。」についても併せて検証する。縦断研究で二時点での血圧値の差を教師データとして深層学習モデルを作成し検証する。パイロット研究で得た深層学習モデルを発展させ、精度向上、般化能検証、根拠視覚化などを含め研究を行う。モデル作成には最新のモデル構造と独自に開発するモデルでより精度、再現性、左右眼での一致など臨床指標として実装できるか検証する。
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