研究課題/領域番号 |
22K19676
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
石田 裕子 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (10364077)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 急性心筋梗塞 / 突然死 / 熱ショックタンパク質 / 超早期生活反応 |
研究開始時の研究の概要 |
法医実務において,死因確定は最も重要な実務の一つであり,その際客観性および正確性が求められる.冠動脈閉塞による急性心筋梗塞は突然死をきたす重篤な疾患であるが,その死因診断法は未だ確立しているとは言えない.本研究は,ストレスタンパク質HSPの超早期発現を指標とする死因判定法の開発と,法医実務への応用の可能性を検討するものであり,剖検試料を用いた実務的検討である.実際の法医解剖で得られた心臓組織における種々のHSP発現を遺伝子レベルおよびタンパク質レベルで評価し,法医実務においてこれら分子の発現が死因判定のための有用な指標となるか否かについて検討する.
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研究実績の概要 |
法医実務において,死因確定は最も重要な実務の一つであり,その際客観性および正確性が求められる.冠動脈閉塞による急性心筋梗塞は突然死をきたす重篤な疾患であるが,その死因診断法は未だ確立しているとは言えない.法医学の現場では生前の情報に乏しく,かつ死因につながる病理所見を欠く突然死では死因の決定が困難な事例が少なくない.精度の高い死因究明を行うには,できるだけ多くの指標を用いることが重要であり,また各指標の独立性が高いことが望ましい.応募者は,タンパク質の複合体の形成,タンパク質の移動,細胞周期を制御することが知られているHSPが「超早期生活反応」として,その発現が極めて短時間で変化する分子であると予想し,心筋梗塞における死因判定の指標となり得る可能性を検討することを構想した. これまでの検討により,過収縮帯を認めた心筋梗塞による死亡例は21例中11例 (52.3%)であり,心筋梗塞以外の死因において過収縮帯を認めた21例中5例 (23.8%) と比べて有意差を認めないことを見出している.一方,Heme oxygenase-1 (HO-1, HSP32)のタンパク発現を免疫染色により解析したところ,心筋梗塞による死亡例の心筋組織において,心筋細胞核に陽性所見を認めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者はすでにヒト剖検試料の収集を行なっており,研究成果を出すために十分な試料が揃っている.また,心筋梗塞による死亡例の心筋組織において,心筋細胞核に陽性所見を認めたことから,今後,コントロール群と比較検討し,HO-1が急性心筋梗塞の法医診断に有用な指標となり得るか否かを検証する.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,ストレスタンパク質HSPの発現を指標とする死因判定法の開発と,法医実務への応用の可能性を検討するものであり,剖検試料を用いた実務的検討である.実際の法医解剖で得られた心臓組織における種々のHSP発現を評価し,法医実務においてこれら分子の発現が死因確定のための有用な指標となるか否かについて検討する. 1)ヒト剖検試料における種々のHSP遺伝子発現解析:和歌山県立医科大学法医学講座で行われる剖検例のうち,死後経過時間が2日以内の死因が明らかな事例について心臓組織を採取し,RNAを抽出する.リアルタイムRT-PCR法により種々のHSPおよびb-actinの遺伝子発現を定量する.死因が心筋梗塞の事例とそれ以外の事例を比較・検討して,死因判定のための指標となり得るHSP候補を見出す. 2)ヒト剖検試料におけるHSPタンパク質発現解析:1の検討で,死因判定に有用な指標となり得るいくつかのHSP候補について,ホルマリン固定パラフィン切片とした心臓組織を用いて免疫染色を行い,それらタンパク質発現が超早期生活反応としての指標となり得るか検討する. 3)1及び2の検討を総合し, 心筋梗塞を起因とする突然死の死因判定の超早期生活反応としてのHSP分子指標の有用性を検証し,新規分子法医診断学の樹立する.
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