研究課題/領域番号 |
22K19741
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
長尾 元史 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 研究部長 (00359671)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | グリア細胞 / アストロサイト / 反応性アストロサイト / 脳卒中 / リハビリテーション |
研究開始時の研究の概要 |
脳卒中後のリハビリテーション(以下、リハ)により、残存領域の神経回路再編が促され機能回復が促進するが、回復期を過ぎるとその効果は減少し、慢性期でのリハによる機能回復は困難である。生後の臨界期に、アストロサイトはシナプス形成と刈り込みを制御し回路を再編する。臨界期ほどではないが、回復期の反応性アストロサイトも回路を再編し、リハによる機能回復に関わると考えられる。しかし、慢性期の回路再編はほとんど起こらず、そのことがリハ応答性を妨げている可能性がある。本研究では反応性アストロサイトに着目し、その制御により慢性期の脳内環境をリハに応答する状態に変えることができるかを検討する。
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研究成果の概要 |
生後臨界期のアストロサイトはシナプス形成と刈り込みを制御し、高い神経回路再編能を持つ。脳卒中慢性期には、反応性アストロサイトの神経回路再編能が低いため、リハビリテーションによる機能回復が困難であると考えられる。本研究では臨界期、成体期、回復期、慢性期のアストロサイトの網羅的遺伝子発現解析を行い、神経回路再編能の高い臨界期アストロサイトの性質を規定する候補分子を抽出した。今後、これらの分子を慢性期の反応性アストロサイトで発現させて臨界期アストロサイト様細胞に転換することで、臨界期のような高い神経可塑性を持つ脳内環境に変えて、リハビリテーションによる機能回復が促進するかを検討する予定である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳卒中の急性期治療の進歩により一命を取りとめる患者の数は増加しているが、その後の重篤な後遺症(麻痺、運動・意識障害、疼痛、失語)に対してはリハビリテーション以外に有効な治療法がないのが現状である。しかし、そのリハビリテーションも受傷後6ヶ月以内の神経可塑性が高い回復期に行わなければ、十分な機能改善が望めない。現在、脳卒中患者の多くは回復期を過ぎた慢性期患者であり、リハビリテーションでさえ有効な治療法とはなり得ない。本研究の成果は、慢性期の脳内環境を神経可塑性が高く、リハビリテーションに再度、応答する状態に変えることのできるリハビリテーション効果促進薬の開発につながることが期待される。
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