研究課題/領域番号 |
22K19859
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
伊藤 歩 岩手大学, 理工学部, 教授 (90312511)
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研究分担者 |
石川 奈緒 岩手大学, 理工学部, 准教授 (10574121)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | ヒ素汚染修復 / ダム貯水池 / 堆積物 / ヒ素還元細菌 / 鉄還元細菌 / 溶出除去 / 浄水汚泥 / 不溶化 / ヒ素酸化・還元細菌 / 浄水汚泥有効利用 / ヒ素酸化還元細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
堆積物中のヒ素は亜ヒ酸塩とヒ酸塩として存在し、亜ヒ酸は溶出しやすく、ヒ酸は溶出しにくく不溶化しやすい。 本研究では、まず、ヒ酸還元能と亜ヒ酸酸化能を有する活性汚泥微生物をそれぞれの細菌の培養培地で集積する。次に、ヒ酸還元細菌を植種してヒ酸を亜ヒ酸に還元させ、固液分離によって堆積物中のヒ素含有量を低減できるかを試験する。 次に、還元処理後の堆積物に亜ヒ酸酸化細菌を植種して好気条件下で亜ヒ酸をヒ酸に酸化し、亜ヒ酸が検出されなくなるまで培養する。その後、浄水汚泥を加えて不溶化処理を行い、処理堆積物中のヒ素形態を逐次抽出法により分画し、浄水汚泥の効果を明らかにする。
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研究実績の概要 |
ダム貯水池からのAs含有堆積物に、活性汚泥由来のAs還元細菌およびFe還元細菌の各集積培養物と、乳酸Naを含む液体培地を混合(固液比1:10)し、55日間の嫌気培養を行い、堆積物からのAsの溶出除去を試みた。液体培地のみと純水のみを加えた2条件と比較検討した。 培養物添加の条件では、溶解性の全AsとAs(III)態Asの濃度が徐々に増加し、堆積物からのAsの溶出を確認できた。最終的な溶解性全As濃度は0.15 mg/Lであり、水質環境基準値0.01 mg/Lの15倍に達したが、As溶出率は0.4%程度と低かった。培養物添加の条件では、溶解性の全FeおよびFe(II)の濃度は一旦増加し、他の条件よりも高くなり、Feの還元による溶出が確認できたが、その後、濃度が減少した。 次に、堆積物の嫌気培養物と集積培養物を新しい堆積物に加えて繰返し70日間の嫌気培養を行った。溶解性の全As濃度は、培養物添加の条件で純水のみ添加の条件よりも高くなったが、培地のみ添加の条件で最も高くなった。堆積物に存在する細菌の影響を無視できないが、乳酸がFe(III)やAs(V)を還元してAsを溶出させた可能性も考えられる。 As(V)を含む水試料にAlを含む浄水汚泥の塩酸溶解物を加えることでAs(V)を不溶化でき、その不溶化物を亜ジチオン酸塩で還元状態に曝してもAsは再溶解しない。上述の堆積物から溶出したAsを除去した後、堆積物に残留する溶解性のAs(III)を酸化し、浄水汚泥の塩酸溶解物を添加することでAsを再溶解しにくい状態に不溶化できると考えられる。 一方、堆積物中のAl化合物と沈殿しているAsは還元されにくく、これが堆積物からのAsの溶出除去を妨げている可能性が考えられる。堆積物からAsを効率的に溶出除去するには、FeやAsの還元だけで無く、Alの溶解あるいは抽出も必要であると考えられる。
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