研究課題/領域番号 |
22K19874
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
小林 正樹 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (90312678)
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研究分担者 |
福原 長寿 静岡大学, 工学部, 教授 (30199260)
片山 裕美 八戸工業大学, 工学部, 講師 (30823661)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | カーボンニュートラル / 常温メタン化 / CO2削減 / マイクロ波 / 触媒 / CCU / CO2資源化 / オートメタネーション / 常温メタネーション / 構造体触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、火力発電所などから排出され地球温暖化の原因となるCO2を、常温で天然ガスの主成分であるCH4に変換する化学プロセスを構築する。 構築のポイントは、素早い加熱が可能なマイクロ波照射の活用、構造体触媒反応場(触媒の化学的機能に物質・熱移動促進の物理的機能を組み込んだ複合化反応場のこと)の活用、世界でも発見されたばかりのCO2の常温メタン化技術(通常なら300℃で反応するものを、25℃程度の常温域で反応するようにしたもの)の活用である。 これにより、産業における既存のCO2吸収・分離処理施設を不要とし、かつCOP21約束草案の実現や2050年CO2排出ゼロ宣言に大きく貢献するものである。
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研究実績の概要 |
本研究では、2050年CO2排出実質ゼロ宣言の実現に資する基幹反応であるCO2のメタン化について、触媒とマイクロ波照射の併用による常温メタン化の実効性を検討するものである。 これにおいては、産業プロセスから排出されるCO2を空気成分(具体的にはO2。つまり、通常は触媒毒となる酸化雰囲気での反応となる)と混在したまま、25℃程度の常温域で高効率かつ高選択的に、そして大多量にCH4に変換する画期的な触媒反応プロセスを構築する。 構築のポイントは、迅速なエネルギー励起と浸透伝播加熱性をもつマイクロ波の活用と、物質・熱移動制御に優れた構造体触媒反応場の活用、そして世界でもまだ見出されたばかりのCO2の常温メタン化技術(通常300℃での作動を常温域に大幅に低下)の活用を図り、ハイスペックな〔CO2→CH4〕の変換場を構築する点である。これに加え、本CO2物質変換場の触媒作用機構を解明し、CO2の資源化技術の新しい学理開拓を目的とする。 本研究では、従来の触媒反応場にマイクロ波照射を導入する。マイクロ波は電磁波であり、人体に有害であり、かつ状況によってスパーク発生等の危険性があるため、反応システムの設計および運用にあたっては、その漏洩や火災が生じないような反応系を構築する必要がある。それと同時に、外部機器との連結による系のモニタリングや、常温メタン化を進行させる上でマイクロ波照射との連携を図る工夫も必要であり、これらの両立とバランスが重要となる。 現時点までに、基本的な反応システムの構築を行い、マイクロ波照射によるメタン化実験を行うとともに、上記課題を含めた検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況を下記に述べる。 (1)CO2、H2、O2、N2の混合比を変化させ、所定温度でメタン化反応を行える実験装置ラインを組み上げた。そして、ラインにガスの漏洩がなく、物質収支計算上の問題がないことを確認した。 (2)(1)の実験装置を用い、Ni/CeO2、Ru/CeO2の粒状触媒による通常の外部加熱での実験を行い、CO2のメタン化が既報の文献で示される傾向と良好な一致の下に進行していることを定量的に確認した。 (3)(2)を受け、CO2の常温メタン化とマイクロ波照射のカップリングを行うためのシステム設計を検討した。マイクロ波照射場はマイクロ波の漏洩を防止する観点から半閉鎖系とする必要があった。常温メタン化を進行させるにおいては、その反応初期段階で外部加熱が必要であり、かつ、触媒を賦活化する水素還元後には外部雰囲気に触れない環境が必要である。その結果、常温メタン化とマイクロ波照射場を組み合わせるには、温度制御および触媒被毒防止の観点から、Ni/CeO2触媒よりも低温でメタン化反応が進行するRu/CeO2触媒の使用が装置としてより適切と判断し、Ru/CeO2触媒反応場にマイクロ波を照射可能な実験装置、操作手順を構築した。 (4)(3)で構築した実験装置によりマイクロ波照射メタン化実験を行った結果、次の知見を得た。(ⅰ)マイクロ波(MW)照射出力を増大させていくと、あるMW出力で急激に転化率が増大した。(ⅱ)MW出力が大きい領域では、転化率が減少傾向を示し、同時にメタン選択率が減少し、CO選択率が増大した。(ⅲ)メタン化が進行している状態からMW出力を減少させていくと、MW出力の増大時とは異なる転化率を示し、いわゆるヒステリシス挙動が観察された。 (5)現在、マイクロ波加熱、通常加熱によるメタン化の差異を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
構築した実験装置を用いて、Ru/CeO2触媒による常温メタン化反応場に対し、マイクロ波照射を重畳することによる効果を、マイクロ波照射出力、原料ガス流量等、操作条件を変化させて引き続き確認していく。その際、次の項目に重点を置く。 (1)使用するRu/CeO2としては粒状触媒に加え、熱移動・物質移動を促進する効果を有する構造体触媒の双方を比較検討する。 (2)原料ガス、触媒のみからなる反応層はマイクロ波の吸収性に乏しく反応に必要なエネルギーの供給が難しいことが判明したため、マイクロ波吸収補助媒体を含有する反応層の利用を検討する。 (3)マイクロ波照射装置の内部にはマイクロ波強度に分布があり、反応層の位置によってその影響を受ける可能性が見受けられるため、それを考慮した再現性の高い、安定的な操作条件の検討を行う。
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