研究課題/領域番号 |
22K19886
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
金城 政孝 北海道大学, 先端生命科学研究院, 名誉教授 (70177971)
|
研究分担者 |
北村 朗 北海道大学, 先端生命科学研究院, 講師 (10580152)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
|
キーワード | 蛍光測定 / 光散乱測定 / 相関関数 / 微粒子 / 蛍光微粒子 / 散乱測定 / 相関分光 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、細胞外に放出される多彩な構造と幅広い分子量分布を持つ分子集合体を対象とした散乱光による網羅的検出と蛍光による特異的検出を統合した新規定量的検出法の確立を目指す。 特にそのような分子集合体の中でもガン診断の指標等として注目されている抗原提示エクソソームと呼ばれるものを対象として、その定量的検出・同定法の確立を通してその性能を実証し、新規細胞由来微粒子検出法としての可能性を探査する
|
研究実績の概要 |
細胞内の液-液相分離による分子集合体やタンパク質凝縮体、また細胞外に放出される細胞外小胞など、様々な形態や大きさを有する新規の構造体が細胞情報伝達や疾患など生体の重要な機能に関連することが認識されている。本研究では、そのような多彩な構造と幅広いサイズ分布を持つ分子集合体を一括して『細胞由来微粒子』として捉え、それらを対象とした散乱光による網羅的検出と蛍光による特異的検出を統合した新規定量的検出法の確立を目指している。 生体分子を対象とした蛍光と散乱光測定を融合した同時計測方法はこれまでになく、シグナル強度だけを見ると、散乱強度は極端に強く、蛍光は微弱であり、単純に比較することは困難である。申請者等は溶液中の分子や微粒子の特徴の一つである「揺れ動く」性質に着目した。蛍光・散乱測定に共通する時系列シグナル変化を基礎とする「自己相関解析」と、さらに蛍光と散乱光シグナル間の「相互相関解析」の同時利用で蛍光と散乱測定の二つの情報の統合と高度利用法を目指している。 具体的測定手段は申請者等が構築した不等分割光ファイバー型蛍光相関分光装置の散乱同時測定への展開と高度化である。本研究では特に細胞外微粒子の中でもガン診断の指標等として注目されている抗原提示エクソソームの定量的検出・同定法の確立を通してその性能を実証し、新規細胞由来微粒子検出法としての可能性を実証する 不当分割光ファイバーを利用した2色蛍光相互相関分光装置(FCrossCS)は、通常の励起光ダイクロイックミラー(第1次DM)を必要としないことから、これまで測定毎に必要とされた光軸・ピンホール調整等のキャリブレーションは一切不要となり、小型で長期安定な蛍光測定装置として利用でき、光軸調整不要なことから広い拡張性を有する。その拡張性の一つに、検出側の蛍光分光ダイクロイックミラー(2次)をハーフミラーに交換することで蛍光と散乱の同時測定を行なった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不等分割光ファイバーカプラーを利用した対物レンズ型小型FCCS測定装置を蛍光・散乱同時測定可能とするために、分光ダイクロイックミラーをハーフミラ―に交換した。ハーフミラーからの二つに分けた光の片方に蛍光フィルターを設置した。この選択波長は緑蛍光用にはET535/50M,赤色蛍光用にはET665LPとし,それぞれ目的に応じて利用した。もう片方にはフィルターを設置せずに,散乱光を含まれるようにした。 蛍光ビーズ(42nm)並びに通常のビーズ(100nm)を測定対象としてシグナルを検出し,解析の結果,ほぼそれぞれの大きさを得たことを確認した。 当初の計画では対物レンズではなく、シングルモード光ファイバーの先端に直接レンズを加工したレンズ付きファイバーを利用し、試料溶液中における励起光の集光とその焦点領域で生じた蛍光の取り込みシステムを構築する予定であったが,検出効率を優先することから現状は対物レンズ型をして測定を行っている。 今年度は,装置の改良とシグナル検出を目指したため,進捗状況としては概ね妥当と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
FCS-DLSによるエクソソーム検出の確認 現状は対物レンズ上で試料を検出しているが,今後は光ファイバーの端面でも検出を試みる。また光ファイバー型FCS-DLS装置を調整し、蛍光・散乱の同時高効率化を目指す。その一つとして2同軸(ダブルクラッド、又は多軸)光ファイバー等の種々の光ファイバー等利用を検討しつつ、FCS-DLS試作装置の効率化と、実際のエクソソームの検出・同定法の開発を進める。 測定対象試料は、2色染色の蛍光ビーズや,散乱測定のための無標識ビーズを利用して,蛍光ビーズと無標識ビーズの割合を変えてその比が相互相関関数にどのような影響を与えるか検討する。 次に市販で入手が可能な母乳由来エクソソームと,エクソソーム認識抗体としてはスタンダートとして知られているCD9、CD63、CD81等を測定対象として利用する。特にCD9蛍光標識抗体(CD9-Alexa488)は予備的測定からエクソソーム認識能が一番強く、調整用として利用する予定。また今年度は通常のHela細胞などやガン関連細胞等を利用し、CD147認識抗体を利用して、細胞培養上清を利用し実際にガン関連エクソソームを対象として検出を試みる。
|