研究課題/領域番号 |
22K19905
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
神戸 裕介 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主任研究員 (30747671)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | シルク / ゲル / 生分解性 / in vivo / マクロファージ / MMP / 蛍光イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
ハイドロゲルをはじめとする移植材料の生分解性は、移植による治療効果や有害事象を決定し得る重要な特性である。しかし、移植材料の生分解性に関する知識の多くは生体外(in vitro)での実験結果に基づいており、生体内(in vivo)での生分解性は不明な点が多い。本研究では、シルクフィブロインゲルをモデル材料として、ゲルの生分解を主に担う生体側因子は分解酵素あるいは貪食細胞なのか、また、ゲルの生分解性を決定する材料物性は何なのか、明らかにする。本研究完成の暁には、in vivoでの生分解性の自在制御を達成するための移植材料の設計指針が得られる。
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研究実績の概要 |
本研究では、移植されたハイドロゲルの生分解挙動を決定する生体・材料側の主要因子を解明し、その結果として、移植材料のin vivo(生体内)での生分解性に関する知識の獲得や、生分解性の自在制御が可能な移植材料の創出に貢献することである。 カイコが産生するシルクフィブロインタンパク質から成るハイドロゲル(以下、シルクゲル)をモデル材料とし、実験動物に移植されたシルクゲルの生分解挙動を決定する生体側因子の解明に取り組んだ。フォルスター/蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の原理に基づき、タンパク質分解酵素の一種であるマトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)の基質切断作用を可視化するセンサー(以下、FRET-MMPS)で修飾したシルクゲルを用意した。このFRET-MMPS修飾シルクゲルを野生型マウスの皮下に移植して蛍光観察を行った結果、経時的にFRETシグナルが減少すること、特に、移植後1日以内に急減することが分かった。しかし、回収したゲルの組織学的評価では、移植後1日でのゲルの分断や崩壊は認められなかった、一方、移植後7日以降では、マクロファージや異物巨細胞が浸潤している部分でのゲルの分断や崩壊が認められた。以上より、シルクゲルは移植直後からタンパク質分解酵素などによる分子レベルの生分解を受けるも、これはゲルの分断や崩壊を伴うバルクレベルの生分解の直接の原因ではないことが分かった。シルクゲルのバルクレベルの生分解は、マクロファージなどの炎症細胞が引き起こすと考えられる。さらに、FRET-MMPS修飾シルクゲルをヌードマウスに移植し、FRETシグナル評価や組織学的評価を行った結果、野生型マウスに移植した場合と大差ないことが分かった。これより、T細胞の関与する獲得免疫系よりも、自然免疫系の方が、シルクゲルのin vivoでの生分解に深く関与することが示唆する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シルクゲルのin vivoでの生分解挙動を決定する生体側の主要因子が炎症細胞であることを解明できたため。また、分子量を変化させたシルクから作製したゲルを用いた実験も開始しており、移植材料のin vivoでの生分解挙動を決定する材料側の因子の解明に着手できているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、シルクゲルのin vivoでの生分解挙動を決定する材料側の因子を解明し、移植材料の生分解性と治療効果との関係性を明らかにする。そのため、異なる生分解性を示すシルク材料を疾患モデル動物に移植し、治療効果の評価実験を行う計画である。また、動物実験で得られた知見を基に、培養細胞を用いた生体外(in vitro)実験系での確認実験を実施する予定である。シルクゲルの生分解過程を観察するため、今年度、タイムラプス細胞観察装置を調達したが、本装置を設置した細胞培養用CO2インキュベーターを他の研究でも使用するため、振動などが問題となる。そこで、次年度は本研究専用の細胞培養用CO2インキュベーターを調達し、スムーズに実験を進める。
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