研究課題/領域番号 |
22K19951
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 泉フロランス 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (50951399)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 美術史 / キリスト教美術 / 西洋中世工芸史 / 聖遺物容器 / 比較美術史 / 西洋中世工芸 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、フランス王シャルル5世が註文し弟のアンジュー公ルイ1世に贈った聖遺物容器《リブレット》を糸口に、本作に至るまで西欧で制作されたパネル型聖遺物容器について、様式、図像、機能、意義、素材、技法、作品相互の影響関係や文脈等に着目し、美術史的位置付けを行う。また、修復家や化学者らとの文理協働的かつ学際的な研究を推進することにより、新知見の獲得に努める。中世後期の聖遺物容器の聖俗混淆の諸相を顧慮しつつ、宗教的意義のみならず王権と関わる世俗的な諸機能についても包括的に論じ、パネル型聖遺物容器の普遍的性質と個々の作例の特性を明確にし、国際的な中世金細工工芸研究に寄与することを目指す。
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研究成果の概要 |
盛期中世美術が花ひらいたシャルル5世王(在位1364-1380年)治世のフランス宮廷で制作された小型のパネル型聖遺物容器《リブレット》を中心に、本作に至るまで西欧で制作された同じタイプの聖遺物容器について、様式、図像、機能、意義、素材、技法、注文主の社会的ステータス、作品相互の影響関係等に着目しながら、美術史的位置付けを行った。ビザンティン帝国で制作された聖遺物容器の影響を受けて、西欧中世で制作された作品が、どのような展開をたどったのかを、多くの数の作品をアーカイヴ化し分析することで明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、西欧中世におけるパネル型の聖遺物容器の形式的な展開に主眼をおいて、研究を進めてきた。ともすると個別研究に重点が置かれがちな西欧中世聖遺物容器研究において、本研究の包括的アプローチはある程度の独自性を有しており、一定のインパクトを与えることができていると考えられる。さらに、中世金細工工芸の分野においては、これまで美術史研究者と修復研究者の協働があまり為されてきておらず、成果が互いに共有されてこなかった傾向があるが、本研究においては、積極的な議論や共同作業を通じて、素材の選択や制作時に用いられた技術などについて新たな知見をもたらすことができた。
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