研究課題/領域番号 |
22K20066
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
岩崎 郁実 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 技師 (60964715)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 土器製塩 / 塩 / 製塩土器 / 古墳時代 / 日本考古学 / 製塩 / 胎土 / 生産 / 流通 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、製塩土器の分析を通じて5世紀における塩の大量生産の成立実態と流通圏を明らかにすることで、社会基盤をなす塩の生産・流通体制がどのように整備されていったのかを解明するものである。この過程では、実物観察により製塩土器の製作技法や特徴を把握する型式学的検討を主としつつ、胎土分析などにおいて理化学的手法を組み合わせることで高い実証レベルの確保を目指す。
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研究成果の概要 |
高い使用価値をもつ塩は、律令制下で完成をみたように生産・流通へ有力者の差配が及ぶ。本研究は、国家形成過程に位置づけられる古墳時代を対象に、製塩集団の編成過程をはじめとした生産体制と、塩の供給範囲をはじめとする流通体制の解明を目的とする。その過程では、塩の生産と運搬に用いられる製塩土器の考古学的検討に根差した実証的な議論を目指す。分析の結果、1)生産面では、5世紀後半に紀淡海峡地域へ新技術をもつ2集団が計画的に組織されて量産に至ったこと、2)流通面では、紀伊・和泉・河内・淡路産塩の流通範囲を分析し、とくに1)紀淡海峡産塩の流通圏は広く、紀伊から播磨や山城までの畿内広域に及ぶことが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
1)生産物である塩が残らないという障壁を抱える古代塩業研究において、これまで重視されてきたのは荷札木簡や税収などにかんする文献史料であった。そうしたなか、本研究が対象とするのは文献史料が出現していない古墳時代であり、生産・運搬用具である製塩土器を手掛りに、考古学的検討によって塩の生産と流通にアプローチした点に学術的意義が見いだせる。 2)塩は人類共通の基幹物資であり、本研究で明らかにした塩生産組織の編成過程や塩流通の実態は、中国やヨーロッパなどの同分野ですでに研究成果があがっている地域との比較研究の素地となりうる。
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