研究課題/領域番号 |
22K20112
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0106:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真栄城 拓也 大阪大学, 大学院法学研究科, 招へい研究員 (90966855)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 沖縄返還 / 復帰運動 / 日米関係 / 脱植民地化 / 国際連合 / 仲吉良光 / 植民地独立付与宣言 / 信託統治 / アメリカ外交 / 国連憲章第78条 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は外交史研究として沖縄返還をテーマとし、仲吉良光・元首里市長による国際社会を見据えた沖縄の日本復帰運動が、米国の沖縄政策に及ぼした影響を明らかにする。沖縄返還研究では近年、米国政府が沖縄返還に向かう際に、自国の沖縄統治が国際社会から厳しく批判されかねないと危惧していたことが明らかにされている。仲吉は復帰運動を進めるにあたり、国連本部や国連加盟国に向けて、米国による沖縄統治は民族自決や領土不拡大原則、そして反植民地主義といった国際規範に反するとし、日本復帰を訴えていた。仲吉の運動が米国政府に及ぼした影響を明らかにすることで、沖縄返還研究の萌芽的テーマを発展させることに貢献できるだろう。
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研究成果の概要 |
本研究では、日本で最も早く沖縄の復帰運動に取り組んだ人物として知られる仲吉良光の運動と影響について再検討した。従来、仲吉良光の復帰運動は政治的立場に一貫性が欠け、その影響力はほとんどなかったと考えられてきたが、本研究では近年公開された米国政府の機密指定解除文書を用い、米国政府が仲吉の国際社会を見据えた復帰運動を強く警戒し、国際社会が米国の沖縄統治を植民地支配 と見なしかねないという懸念が沖縄返還に向かう際に重要な要因になっていたことを明らかにした。また、仲吉の復帰運動の主張は、一貫して、米国の沖縄支配が民族自決や領土不拡大原則に反するという国際規範に基づくものだったことを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、仲吉の復帰運動を再評価し、その復帰運動の意義を示した点にある。また、仲吉を再評価する過程で、米国政府は沖縄返還問題が植民地問題として国際社会から取り上げられることを強く恐れていたことを示した。この点は、沖縄返還研究で注目を集め始めたばかりであり、沖縄返還研究の萌芽的テーマを発展させることができた。また、社会的意義として、現在、沖縄の米軍基地問題は国連機関で取り上げられており、国際社会のなかで沖縄の基地問題を把握することが求められている。本研究は、沖縄返還問題を国際社会との関わりから論じることで、現代の問題を考えるにあたっての基盤となる歴史的知見を提供できたと考える。
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