PARP阻害薬の血行性がん転移予防への適応拡大を志向した基盤研究

• 研究課題/領域番号: 22K20711
• 研究種目: 研究活動スタート支援
• 配分区分: 基金
• 審査区分: 0801:薬学およびその関連分野
• 研究機関: 徳島大学
• 研究代表者: 今西 正樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 助教 (00734344)
• 研究期間 (年度): 2022-08-31 – 2024-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2023年度)
• 配分額: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円); 2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円); 2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
• キーワード: 血行性がん転移 / 抗がん剤 / 血管内皮細胞 / PARP / 腫瘍循環器学

研究開始時の研究の概要

本研究は、抗がん剤治療が血管内皮細胞 (EC)のpoly ADP-ribose polymerase (PARP)活性化を介して将来の血行性がん転移を促進させる機序を、マウスモデルや細胞実験、TCGA解析などを用いることで解明し、現在臨床で使用され始めているPARP阻害薬の血行性がん転移予防への適応拡大を目指すものである。

研究成果の概要

本研究では、抗がん剤治療が血管内皮細胞(EC)のpoly ADP-ribose polymerase (PARP)活性化を介して将来の血行性がん転移を促進させる機序を解明し、現在臨床で使用され始めているPARP阻害薬の血行性がん転移予防への適応拡大を目指すことを目的とした。研究代表者は、ECのPARP活性化を引き起こすシスプラチンの反復投与はその後のメラノーマ肺転移を促進させ、PARP阻害剤Olaparib投与によりそれが抑制されることを動物実験により明らかにした。

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究により、抗がん剤によるEC由来PARP活性化を介した血行性がん転移促進機序が解明されることにより、(1)すでに臨床で使用されているPARP阻害薬の血行性がん転移予防への適応拡大の可能性、(2)将来の血行性がん転移制御も考慮した効率的がん治療戦略の開発、に向けて一石を投じることが可能となる。

研究成果

• [雑誌論文] CA9 and PRELID2; hypoxia-responsive potential therapeutic targets for pancreatic ductal adenocarcinoma as per bioinformatics analyses (2023)
  • 著者名/発表者名: Imanishi Masaki、Inoue Takahisa、Fukushima Keijo、Yamashita Ryosuke、Nakayama Ryo、Nojima Masataka、Kondo Kosuke、Gomi Yoshiki、Tsunematsu Honoka、Goto Kohei、Miyamoto Licht、Funamoto Masafumi、Denda Masaya、Ishizawa Keisuke、Otaka Akira、Fujino Hiromichi、Ikeda Yasumasa、Tsuchiya Koichiro
  • 雑誌名: Journal of Pharmacological Sciences 巻: 153 号: 4 ページ: 232-242
  • DOI: 10.1016/j.jphs.2023.10.003
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Endothelial activation and fibrotic changes are impeded by laminar flow-induced CHK1-SENP2 activity through mechanisms distinct from endothelial-to-mesenchymal cell transition (2023)
  • 著者名/発表者名: Nguyen MTH、Imanishi M、Li S、Chau K、Banerjee P、Velatooru LR、Ko KA、Samanthapudi VSK、Gi YJ、Lee L-L、Abe RJ、McBeath E、Deswal A、Lin SH、Palaskas NL、Dantzer R、Fujiwara K、Borchrdt MK、Turcios EB、Olmsted-Davis EA、Kotla S、Cooke JP、Wang G、Abe J-I、Le NT
  • 雑誌名: Frontiers in Cardiovascular Medicine 巻: 10
  • DOI: 10.3389/fcvm.2023.1187490
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Aerobic Exercise Alters the Melanoma Microenvironment and Modulates ERK5 S496 Phosphorylation (2023)
  • 著者名/発表者名: Savage Hannah、Pareek Sumedha、Lee Jonghae、Ballaro Riccardo、Conterno Minussi Darlan、Hayek Karma、Sadullozoda Mumina、Lochmann Brooke S.、McQuade Jennifer L.、LaVoy Emily C.、Marmonti Enrica、Patel Hetal、Wang Guangyu、Imanishi Masaki、Kotla Sivareddy、Abe Jun-ichi、Schadler Keri
  • 雑誌名: Cancer Immunology Research 巻: 11 号: 9 ページ: 1168-1183
  • DOI: 10.1158/2326-6066.cir-22-0465
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] An ERK5-NRF2 Axis Mediates Senescence-Associated Stemness and Atherosclerosis (2023)
  • 著者名/発表者名: Abe J-I、Imanishi M、Li S et al. and Kotla S
  • 雑誌名: Circulation Research 巻: 133 号: 1 ページ: 25-44
  • DOI: 10.1161/circresaha.122.322017
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] 5-FU膵がん細胞増殖抑制効果に対する低酸素-PARPシグナルの役割 (2023)
  • 著者名/発表者名: 今西正樹、山下竜介、福島圭穣、近藤宏祐、中山涼、常松保乃加、井上貴久、後藤廣平、船本雅文、藤野裕道、池田康将、土屋浩一郎
  • 学会等名: 第52回心脈管作動物質学会
• [学会発表] TCGAがんゲノムビッグデータとGEOトランスクリプトームデータとの統合解析による膵がん治療標的候補遺伝子の探索 (2023)
  • 著者名/発表者名: 五味 義輝, 今西 正樹, 井上 貴久, 福島 圭穣, 山下 竜介, 中山 涼, 野島 雅孝, 近藤 宏祐, 澤村 貴哉, 常松 保乃加, 後藤 廣平, 宮本 理人, 船本 雅文, 藤野 裕道, 池田 康将, 土屋 浩一郎
  • 学会等名: 生体機能と創薬シンポジウム2023
• [学会発表] PARP阻害剤は低酸素環境下において生じる5-FU治療効果の減弱を回復させる (2023)
  • 著者名/発表者名: 澤村 貴哉, 今西 正樹, 福島 圭穣, 山下 竜介, 近藤 宏祐, 中山 涼, 五味 義輝, 常松 保乃加, 井上 貴久, 後藤 廣平, 宮本 理人, 船本 雅文, 藤野 裕道, 池田 康将, 土屋 浩一郎
  • 学会等名: 生体機能と創薬シンポジウム2023
• [学会発表] TCGAがんゲノムビッグデータによる膵がん悪性化因子の網羅的探索と腫瘍血管新生の寄与についての検討 (2023)
  • 著者名/発表者名: 今西 正樹, 井上 貴久, 福島 圭穣, 五味 義輝, 檜垣 良也, 野島 雅孝, 近藤 宏祐, 澤村 貴哉, 山下 竜介, 中山 涼, 常松 保乃加, 後藤 廣平, 宮本 理人, 船本 雅文, 藤野 裕道, 池田 康将, 土屋 浩一郎
  • 学会等名: 第53回日本心脈管作動物質学会年会