研究課題
基盤研究(C)
原子間力顕微鏡(AFM)はナノスケールの大きさや形状の計測を行う能力を持ち、さらにカンチレバーに修飾を行うことにより様々な機能的計測を可能にすることから、生体物質の医学的応用が期待される。本課題ではAFMをリポタンパク質粒子の計測と分類に応用することにを目標にしている。リポタンパク質は代謝過程のなかで粒子径を変化させるが、小型LDLと動脈硬化との関連がこれまでに知られている。また、HDL粒子径とHDLの高動脈硬化的性質との関連も知られつつある。本課題はここまでの研究期間内に、AFMによるLDLと小型LDLの粒子径計測の妥当性について、電子顕微鏡(EM)と比較することにより評価してきた。AFMはタンピングモードで行い、EMはネガティブ染色モードで行った。6名の健常者から超遠心法により分離した大型LDLと小型LDLを比較した。AFMとEMのそれぞれにおいて両リポタンパク質分画の粒子径は有意性をもって大型リポタンパク質が大きかった。AFMとEMの間での比較においては、いずれのリポタンパク質分画においても、二つの方法間で有意差をもって測定値に違いがあった。次いで、総リポタンパク質分画を指標としてAFMとEMによる計測を行った。HDLとLDLの粒子数の分布は、AFMでは、それぞれ64.3と24.1%で、EMではそれぞれ72.5%と14.1%であった。方法間の不一致の原因として、小型LDLとHDLの間の分解能力がAFMではEMよりも低いことが考えられた。その原因としてカンチレバーの径が市販の最小径のものでも小型LDLやHDLの測定には大きすぎることが考えられた。小径のカンチレバーの開発の必要性が明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 1件)
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